• "先進事例等"(/)
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  1. 山形県議会 2022-06-01
    06月08日-03号


    取得元: 山形県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-17
    令和 4年  6月 定例会(第407号)  令和四年六月八日(水曜日)午前十時零分 開議議事日程第三号  令和四年六月八日(水曜日)午前十時開議第一   議第六十七号 令和四年度山形県一般会計補正予算(第一号)第二   議第六十八号 令和四年度山形県小規模企業者等設備導入資金特別会計補正予算(第一号)第三   議第六十九号 山形県職員等に対する退職手当支給条例の一部を改正する条例の制定について第四   議第七十号 山形県職員等の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例の制定について第五   議第七十一号 山形県手数料条例の一部を改正する条例の制定について第六   議第七十二号 山形県県税条例の一部を改正する条例の制定について第七   議第七十三号 山形県地方活力向上地域における県税の課税免除等に関する条例の一部を改正する条例の制定について第八   議第七十四号 山形県過疎地域の持続的発展の支援に関する県税課税免除条例の一部を改正する条例の制定について第九   議第七十五号 山形県議会議員及び山形県知事の選挙における選挙運動用自動車の使用等の公営に関する条例の一部を改正する条例の制定について第十   議第七十六号 山形県民生委員の定数に関する条例の一部を改正する条例の制定について第十一  議第七十七号 旧山形県県民会館解体工事請負契約の締結について第十二  議第七十八号 東北農林専門職大学(仮称)校舎新築(建築)工事請負契約の締結について第十三  議第七十九号 一般県道余目松山線道路改築事業庄内橋橋梁下部工事(P4)請負契約の一部変更について第十四  議第八十号 権利の放棄について第十五  議第八十一号 令和三年度山形県一般会計補正予算(第十一号)の専決処分の承認について第十六  議第八十二号 山形県県税条例等の一部を改正する条例の設定についての専決処分の承認について第十七  議第八十三号 山形県公安委員会委員の任命について第十八  議第八十四号 山形県人事委員会委員の選任について第十九  県政一般に関する質問本日の会議に付した事件 議事日程第三号に同じ。出席議員(三十九名)  二番 梅津庸成議員  三番 今野美奈子議員  四番 菊池大二郎議員  六番 高橋 淳議員  七番 遠藤寛明議員  八番 相田光照議員  九番 遠藤和典議員  十番 梶原宗明議員 十一番 関  徹議員 十二番 山科朝則議員 十三番 菊池文昭議員 十四番 松田敏男議員 十五番 青木彰榮議員 十六番 青柳安展議員 十七番 五十嵐智洋議員 十八番 柴田正人議員 十九番 渋間佳寿美議員二十一番 矢吹栄修議員二十二番 小松伸也議員二十三番 渡辺ゆり子議員二十四番 石黒 覚議員二十五番 吉村和武議員二十六番 高橋啓介議員二十七番 島津良平議員二十八番 加賀正和議員二十九番 森谷仙一郎議員 三十番 鈴木 孝議員三十一番 楳津博士議員三十二番 奥山誠治議員三十三番 小野幸作議員三十四番 木村忠三議員三十五番 金澤忠一議員三十六番 伊藤重成議員三十七番 舩山現人議員三十八番 田澤伸一議員三十九番 森田 廣議員 四十番 坂本貴美雄議員四十一番 星川純一議員四十二番 志田英紀議員欠員(四名)  説明のため出席した者知事          吉村美栄子君副知事         平山雅之君企業管理者       沼澤好徳君病院事業管理者     大澤賢史君総務部長        小林剛也君みらい企画創造部長   岡本泰輔君防災くらし安心部長   奥山 賢君環境エネルギー部長   安孫子義浩君しあわせ子育て応援部長 布川理枝子君健康福祉部長      堀井洋幸君産業労働部長      我妻 悟君観光文化スポーツ部長  西澤恵子君農林水産部長      地主 徹君県土整備部長      小林 寛君会計管理者       佐藤紀子君財政課長        相田健一君教育長         高橋広樹君公安委員会委員長    北村正敏君警察本部長       丸山彰久君代表監査委員      松田義彦君人事委員会委員長    安孫子俊彦君人事委員会事務局長   大場秀樹君労働委員会事務局長   富樫健治君     午前十時零分 開議 ○議長(坂本貴美雄議員) これより本日の会議を開きます。 △日程第一議第六十七号議案から日程第十八議第八十四号議案まで及び日程第十九県政一般に関する質問 ○議長(坂本貴美雄議員) 直ちに日程に入ります。 日程第一議第六十七号令和四年度山形県一般会計補正予算第一号から、日程第十八議第八十四号山形県人事委員会委員の選任についてまでの十八案件を一括議題に供し、これら案件に対する質疑と、日程第十九県政一般に関する質問を併せ行います。 質疑及び質問の通告がありますので、通告順により発言を許可いたします。 十番梶原宗明議員。 ◆10番(梶原宗明議員) 自由民主党の梶原宗明でございます。まずもって、今回質問の機会をいただいた自民党会派の皆様に改めて感謝申し上げる次第でございます。 コロナ感染者数は下降傾向にあるものの、コロナ禍、円安、そしてロシアのウクライナ侵攻などに起因する物価高騰が止まりません。県民生活や、今後幅広い分野へのさらなる影響が懸念されます。厳しい状況下ではありますが、このような困難、そして県政課題克服に向け、県民一丸となり取り組む必要があると思いますし、県当局も市町村等と一層連携を密にし立ち向かわなければならないと考えています。 それでは質問に移りたいと思います。 まず初めに、人・農地プランにおける農地の集約について伺います。 本県において、農林水産業は基盤産業であり、食料供給のみならず、地域の雇用創出、豊かな自然環境の維持、農山漁村の伝統文化、地域活動の継承・発展など様々な機能を担っており、今後も持続的に発展させていく必要があります。しかし、少子高齢化に伴う人口減少などにより従事者は年々減り続けている現状にあり、地域活動の人材不足や活力低下などに影響し、深刻な状況になっています。 農業分野において、本県では従事者数も多く、恵まれた豊かな自然条件を生かし、米や果物をはじめ花卉、畜産など良質な農畜産物の生産が行われており、様々な施策が展開されております。同時に、地域ごとに多種多様な課題があるのも事実であり、それぞれの環境や特性に合った対応が求められています。 そこで、本県の農業、特に水田農業と米を中心に何点か伺います。 本県の統計によれば、農業産出額は二〇二〇年で二千五百八億円、ピーク時の一九八五年の三千三百五十八億円と比較して八百五十億円の減であります。果実の七百二十九億円をはじめ園芸作物全体では千二百七十七億円と過去最高だったものの、米は千六十六億円の減で八百三十七億円、畜産は百七十五億円減の三百七十六億円と大きく減少しており、二〇二一年の集計はさらに厳しい結果が予想されます。米は、作付農家数、産出額も多いことから、稲作農家の所得確保、再生産維持に向けた取組を再度点検、強化する必要があると考えます。 政府は、二〇一二年から、地域の農業者の話合いに基づき、将来的に誰が中心となって地域内の農地、農業を維持、担っていくのか、結果を明確にし、市町村が「人・農地プラン」として作成し公表することを求めています。また、人・農地プランを「地域計画」として農業経営基盤強化促進法に位置づけ、法定化し、策定を促すことで、農業者の減少加速や荒廃農地の増加が懸念される中、担い手の確保・育成、農地の集約による適切な利活用を具体化することを地域に求めています。 今まで人・農地プランに併せ農地の集約などを進めてきた現場でも、農地の出し手と受け手の需給バランスが全てうまく進んでいたとは言い難いところもあり、各地域の実情に配慮した対応が求められます。また、人・農地プランを「地域計画」として法定化する農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律が、今年五月二十日、国会で成立しましたが、市町村や関係団体からは、計画策定などの新たな事務の義務づけや、計画策定に要する財源、人員の確保、それと併せ計画の有無などが補助事業の採択に影響するのではと危惧もされています。 本県でも、地域の課題を把握し、分析を進め、農地の集積や集約化を加速させることを目的として、山形県農地集積・集約化プロジェクト会議を設置しました。県内では、二〇二二年三月末で五百七十六のプランが作成されていると伺っています。しかし、策定されたプランは、十分な話合いに基づいていたのか、五年、十年後には中心経営体が農地を引き受けられなくなるのでは、といった声もあると聞いています。地域の実情を踏まえた実効性のあるプランを策定しなければ実現は難しいと考えます。 今後、人・農地プランを着実に実践し、農地の集約を進めていくために、県として、人・農地プランの策定・実践、さらには農地の集約を主体的に担うことになる市町村の現場に対してどのように対応していくのか、農林水産部長に伺います。 次に、人・農地プランにおける担い手の確保について伺います。 人・農地プランにおいては、農地の集約と併せて、将来地域の農地を担う農地利用者、担い手の確保・育成も重要な課題です。 政府は、二〇二一年三月末現在の全国における認定農業者数を二十二万七千四百四十四経営体と発表しています。二〇一七年以降、五年連続で減少しており、そのうち六十五歳以上が四割を占めています。四十九歳以下は約二割であり、将来担い手の中核となる認定農業者の確保・育成が持続可能な農業を実現していくために欠かせないとしています。 認定農業者は、経営所得安定対策農業経営基盤強化資金などの支援を通じて効率的で安定的な経営を実現していくこととしています。しかし、高齢化に伴う認定農業者の減少が続く中で、担い手の確保・育成は喫緊の課題です。本県の認定農業者数は、二〇二一年三月末で八千七百九十二経営体、個人経営体の基幹的農業従事者は三万九千三十四人、六十五歳以上の高齢化率は約六八%となっています。 人・農地プランでも、農地の集積・集約と併せて担い手の確保・育成措置を講じることとしています。また、認定農業者のほか多様な経営体の位置づけも想定されています。農業者の減少が急速に進む中で、農地を引き受けたいが引き受けられないとの現状もあります。それらを踏まえ、農業や農村に関心を持つ人を対象に潜在的な担い手を掘り起こし、その中からも地域の中核となる認定農業者を確保できるのではという考えもあるようです。 新たに成立した農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律では、各地域がまとめる将来の農地利用の姿を目標地図とし、その実現に向け、農地中間管理機構・農地バンクを経由しての農地賃借を加速させるための措置を幾つか盛り込んでいます。その例として、農地の利用権は預けないが農作業は任せるケースも含めてバンクが農作業を受託し農家に委託する仕組みや、権利取得時の下限面積要件の廃止、バンクに貸し付ける場合、一部の利用権期間の上限を従来の二十年から四十年に延ばすなど、バンクに農地がより集まるよう、そして幅広い人材の就農を促すような改正となっています。 「半農半X」という言葉を皆さんも御存じと思います。農業とほかの仕事を組み合わせた働き方であり、新たな農業の担い手の確保に加えて、都市部から農村地域への人の流れを生み出し、農村地域の活性化や農業への理解を促すことで地域農業に関わる多様な人材の確保や育成にも結びつく取組として注目されます。 農林水産省の「新しい農村政策の在り方に関する検討会」などのまとめでは、農業や農村に関心を持つ人を対象に、潜在的な農村の担い手を拡大する考えを明記しています。一部の担い手に負担が集中しないように、兼業農家も積極的に人・農地プランにおける担い手として位置づけ支援する施策も大切だと考えます。 また、農業の担い手や人員確保が深刻化している地域では、半農半Xを積極的に支援している自治体が増えています。長野県は、今年四月一日から、県職員の副業ができる範囲を明確にし、運用を開始しています。その活動例に農業を明示し、職員が農作業を通じて地域貢献できる環境を整え、産地や景観、農地の保全につなげるとしています。また、公益性の高い活動に限り、副業として報酬を得ることを認めています。 本県でも、今月から「やまがたチェリサポ職員制度」を創設し、職員が気軽に副業としてサクランボの収穫作業を手伝える環境を整えたところであります。この取組は、一つの農作物に特化した農作業を副業として認める制度であり、都道府県では全国初とお聞きしており、評価するものであります。 こうした副業は、県職員が率先して行動することにより、人手不足の解消や、民間企業や団体への波及、そして、副業による交流を通して農業分野の関係人口の拡大や産業間の相互理解、さらには新たな発想でのビジネス展開にもつながることが期待されます。サクランボ以外の作物でも人手不足の現状にあることから、ぜひ他作物などへの拡大の検討もするべきと考えます。 地域の農業、農地を守っていくためには、多様な農業に関わる人材の育成・確保が何よりも重要になりますが、県として、人・農地プランを支える担い手の基本的な考え方や半農半Xなどの兼業農家をどう位置づけるのかを含めて、担い手の確保に関する取組の考え方を農林水産部長に伺います。 次に、二二年産の水田における作付状況について伺います。 全国で一九九〇年には三兆円を超えていた米の生産額は、二〇二〇年には一兆六千億円と約半減しています。この先も増える要素が見いだせない現状です。全国で本年六月末の主食用米在庫量は二百十六万トン程度と予測され、米価の安定する水準を上回っています。農林水産省は、二二年産主食用米の需給見通しで適正生産量を二一年産より二十六万トン少ない六百七十五万トンとしており、二一年産と比べ二二年産は、面積換算でさらに四万ヘクタールの作付転換が必要となります。 本県の二二年産米の「生産の目安」では、二一年産の目安より一万六千二百トン、面積で二千七百九ヘクタールの減で、生産量三十一万七千三百トン、作付面積五万三千六十ヘクタールとしています。県独自の目安の設定を始めた二〇一八年度以降、最大の減少幅です。全国的に米の消費量が年間約十万トン減少している現実に加え、新型コロナ禍外食需要低迷による消費減がさらに追い打ちをかける形となっており、生産現場でもさらなる減産はある程度やむを得ないという判断に至っているのではと考えられます。 このような状況の下、農林水産省は、定着性や収益性の高い作物、真に需要がある作物への転換を促すとして、麦、大豆、野菜、子実用トウモロコシ等の飼料作物を挙げています。しかし、新たな作物で栽培体系を確立するには時間がかかります。二一年産の水田における大幅な作付転換に対応できたのは、主食用米から飼料用米への切替えが行われたことが挙げられます。産地交付金の加算措置の見直しなどがあるものの、農林水産省の食料・農業・農村基本計画でも、二〇三〇年度に七十万トンの飼料用米生産を目標にしており、作付転換の柱になることが依然として現実的と考えます。 そして、これに追い打ちをかけるように、水田活用の直接支払交付金の交付対象農地の見直し方針として、五年間一度も水張りが行われない水田は交付対象から除外する旨の報道がありました。これで生産現場は混乱することとなり、畑地化により定着性や需要がある作物への転換を考えていた農家は、ちゅうちょする結果になったと考えます。 これらのことからも、より実態に即した提言、提案が必要と考えます。長い年月をかけて国や地方自治体、農家が投資をし、築き上げてきた水田地帯では、米が最も適地適作であると考えます。今こそ、時代やその土地に適したやり方を考え、取り組むときと考えます。 ついては、六月二日に農林水産省が今年産の水田の作付意向の状況を公表しましたが、これについての県の考え方を伺いたいと思います。 また、以前の定例会でも「生産の目安」について質問させていただきました。その答弁において、山形県の米生産農家の意識の高さもあり、各現場において生産量が目安を超えることがないよう配慮するため、目安を下回る傾向もあると伺いました。その一方で、農林水産大臣の認定を受けた生産調整方針に参加せずに水稲の生産・販売を行う生産農家もあるとJAなどからも伺ったこともあります。生産者間で調整できればよいのですが、私の地元酒田市、遊佐町では、調整がなかなか大変だと聞いたこともあります。県として、これら非参加農家の把握はされているのでしょうか。生産者の中には不公平感を嘆く方もいらっしゃいます。 二〇一八年度の自由化以降、作る自由もあるわけですが、こういったことの現状把握と指導等は行われているのか、そしてその対応はどうしているのか、農林水産部長に伺います。 次に、県産米の作付に係る今後の取組について伺います。 さきにも述べましたように、全国的な米の消費量の減少や産地間のブランド米競争の激化により、米の販売競争は厳しさを増しています。そのような中ではありますが、本県産つや姫、雪若丸は、市場において高評価をいただいていると聞いています。 つや姫は、今や押しも押されもしない全国トップブランド米としての評価が定着し、米価下落の市場環境の中で、価格的にも高水準を維持し、消費者、生産者どちらにとってもおいしいお米になりつつあると思います。今年本格デビュー五年目を迎えた雪若丸は、つや姫の弟として、今がわんぱく盛り、伸び盛りの感があります。我が家でも両品種とも作っています。作ってみて、特徴を一言で表せば、つや姫は「おっとりしているようだがなかなかの頑固者。一度怒らせると後が大変」です。雪若丸は「反応がよく、元気がよい。このまま伸びれば将来は天下を取るかもしれない」、そんな感じです。 生産者の立場からすれば、つや姫は作りづらい部分があるのは確かですが、その分、価格でカバーしてくれています。雪若丸は、年々食味が上がってきているように感じられます。私の周りでも、雪若丸に対する評価は年々高くなっており、「デビュー当時と比べると大変おいしくなった」「値段的にも買いやすい」、そんな声を聞きますし、作っている農家の皆さんも、「栽培面積をもっと増やしたい」、そして「新たに作付をしたい」と多くの方々から意見をいただいています。そして、はえぬきとのすみ分けもある程度必要かとも思います。はえぬきは、県内で最大の栽培面積であり、業務用として値頃感があること、安定した食味であることで、依然として引き合いが強いと聞いていますが、そろそろ次の対応に移る時期ではないでしょうか。 以前の予算特別委員会で、当時の駒林農林水産部長の答弁では、雪若丸について、家庭用需要の掘り起こしを図るとともにワンランク上の業務用米としての働きかけも強化していきたいと伺ったことがありました。 コロナ禍後や人口減少が進んでいる現状を見据えての作付誘導を進めていく必要があると考えます。市場や産地の評価も含め、今後の取組について農林水産部長に伺います。 次に、米の消費と利用拡大の考え方について伺います。 米の消費拡大に対しては、今まで幾度となく議会の場でも議論されてきたと認識しております。また、市町村やJA等の生産団体、米卸や販売店等の流通業者、そして消費者である各家庭や飲食店、給食の場などへ積極的に県産米使用を働きかけていると理解しています。その成果として、トップブランド米に成長したつや姫が高く評価されていることとともに、今後の消費拡大が期待される雪若丸の存在があると考えます。 そこで、さらなる県産米の販売強化に向けた次の一手として、例えば、飲食店や宿泊施設等を中心に進められている登録制度、これは年々増加していると伺っております。一方で、同じ県産米を使っているにもかかわらず、食感、食味にばらつきは見られないでしょうか。お米の炊き方、保存方法、水加減などによっても味は大きく変わります。品種ごとに特徴がありますから、おいしいものをおいしく食べていただくことも重要と考えます。厳しい言い方をすれば、山形県産米を使っていると登録されているものの、残念な施設もあります。 制度上、「使ってもらっているから登録しました、ありがとうございます」だけでなく、助言、提言も含めて、さらに特徴が生きるように、登録と併せて、炊飯名人認証のようなことを工夫することでアピールを考えてはいかがでしょうか。また、さきの定例会で五十嵐議員からもありました、県内の医療や介護等の公共性の高い現場での使用や配食給食を使っている事業者への実態調査を行い、県産米をさらに使っていただけるような支援策は考えられないでしょうか。 また、近年、米粉の需要が年々伸びています。加えて、国際情勢の影響を受けて輸入小麦の価格が高騰し、代替利用としても米粉が注目されています。以前と比べ、製粉技術の進歩等と併せ、さらなる需要拡大が見込まれています。このような中、米粉用途にも活用できる水稲品種の開発や利活用の方法を検討すべきと思います。 県産米の消費と利用拡大に向けた取組について私の考えを述べましたが、県として今後どのように取り組んでいく考えなのか、農林水産部長に伺います。 次に、JR陸羽西線活性化策について伺います。 開業から百九年の歴史を持ち、新庄駅と庄内町余目駅、そして酒田駅間を走り、内陸と庄内を結ぶ唯一の鉄道、JR陸羽西線が五月十四日から運休に入りました。これは、JRとほぼ並走する国道四十七号の高屋付近のトンネル工事によるもので、列車運行の安全を考慮した措置とされています。 このトンネルは、地域高規格道路新庄酒田道路の一部で、JR陸羽西線のトンネルと近接することから、工事の間は列車を止めて対応する決定がなされました。トンネルの開通予定は二〇二四年度、それまでの間はバスでの代行輸送で対応されます。 沿線自治体や鉄道を利用している住民の皆さんからは、代行バス運行による利便性の低下や、鉄道運行再開後の減便や、近い将来廃線になるのではといった、不安や今後を危惧する声が上がっています。 代行バスの所要時間は、列車に比べて約二倍、列車の約一時間がバスは二時間くらいになります。また、陸羽西線の利用者の多くは高校生の通学利用者が占めています。バス停は駅前や駅の近くに設けられていますが、列車に比べ、定時運行への不安もあり、次の列車への乗換えや駅からの二次交通への乗換え、そして、特に冬期間の遅れなどに対して時間が読みづらくなり、さらに乗客の減少になるのではと懸念もあります。 陸羽西線の利用者数は、一日当たり平均で、一九八七年度は約二千二百人、三十年後の二〇一七年度は約四百人と大きく減少しています。さらに、コロナ禍の二〇二〇年度は百六十人台と厳しい現状です。 赤字経営に苦しむJR各社は、不採算路線を維持することが困難であることを表明しています。このことからも、過疎地域の赤字ローカル線は経営見直しが避けて通れない環境に置かれており、陸羽西線もその方向に進むのではないかと危惧されます。JR東日本では、「今回の運休が廃線につながるものではない」としているようですが、このままでは、再開後も不安は膨らむばかりと考えます。吉村知事も記者会見で「廃線に向かわないよう申し上げる」としておりますし、「沿線の活性化策をしっかり考えていかなければならない」とも述べられております。 本県内陸部と沿岸部のみならず、日本海側と太平洋側を最短距離で結ぶ鉄路である重要性を認識し、生活の足としてだけでなく、人的交流や観光面での利活用促進等も含めいかにして利用拡大につなげていくべきと考えているか、具体的なお考えを、みらい企画創造部長に伺います。 次に、地域で支える子育て支援について伺います。 県は、「子育てするなら山形県」の実現に向けて、結婚から妊娠・出産、子育てまで切れ目なく、各ステージにおいて応援するプログラムを一体的に進めることを二〇二二年の重点施策の一つに挙げています。社会で結婚を応援する機運を高める、特定不妊治療については保険適用になったことで発生する自己負担に対して県独自に助成する、そして父親が育児へ積極的に参加できるような環境づくり、などの取組が示されています。 いずれも今までの施策よりも一歩踏み込んだものになっていると評価するところですが、そのような中で、二〇二〇年度から「やまがた他孫(たまご)育て支援事業」というのがあります。エッグのたまごではなく、ほかの孫でたまごです。地域、社会全体で子育てを応援する機運を高め、安心して子供を産み育てられる環境づくりが求められている現状から、意欲ある高齢者が子育ての担い手として子育てボランティアに参画することを促し、地域の子育て支援の裾野を広げる趣旨の取組と理解しています。事業としては、シニア層への研修、子育て支援団体へのボランティアについての情報提供、マッチングが考えられています。 この事業の以前には、二〇〇七年度から一八年度までは、市町村総合交付金においてNPO法人や市町村との協働による子育て支援活動を対象事業とし、その後、制度の見直しが行われ、二〇一九年度から二〇年度までは、やまがた子育て地域連携推進事業費補助金がありました。そして現在は他孫育て支援事業になっていると理解しています。 私の地元酒田市では、初めの十年間の事業では、団体立ち上げに対して三年間の期限付で積極的に団体を支援し、その後、独り立ちを促してきました。しかし、団体自体が手作りボランティアの要素が大きく、運営には何らかの補助金が必要な状況で、二〇二〇年度以降活動を休止する団体や、市町村単独で継続をしているところと、対応はまちまちです。 他孫育て事業は、県の直営事業であって、地域団体への助成事業ではありません。方向性が二〇年度と大きく変わっており、市町村の現場では混乱したと聞いています。私の地元酒田市では、県補助金が対象外と分かったのが十二月で、二一年度は県補助分をほかの事業費削減で捻出し、予算を当初どおり何とか確保したようです。 令和三年二月定例会で当時の松田子育て若者応援部長が、「子育てするなら山形県」の実現に向けて、幸せな子育て環境整備に市町村の皆様に御理解をいただき一緒に推進していただけるよう丁寧に説明を重ねてまいりたいと答弁しております。丁寧な説明はあったのでしょうか。 地域の子育て環境の整備には市町村の理解と協力が欠かせないと私も思います。地域で支える子育て支援の充実に向け、今後どのように取り組んでいくのか、しあわせ子育て応援部長に伺います。 次に、産業系高校の活性化について伺います。 全国的に進む少子高齢化による人口減少は、本県においても大きな課題です。革新技術やグローバル化が進み、就労形態や国際環境も変化している状況から、多様な豊かさへの対応も求められています。それに伴い、教育の現場にも、将来の社会変化を見据えながらも、各人の個性に合った教育が求められているものと考えます。 今春の本県二〇二二年度公立高校入学志願者数は、推薦内定を除き、全日制で定員六千六十七人に対し志願者数五千七十二人。定時制は定員二百八十人に対し百三十人という結果になっています。定員を割った学科も多い中、総じて探究科・普通科探究コースが高い倍率の傾向にあります。これは、中学生の進学希望が強く表れているものと思います。 一方、専門性の高い産業系高校への進学者は、一部を除き、依然として少ない傾向にあります。進学を希望する生徒が多いとしても、地域の産業を支える現場の担い手育成の観点から、産業系高校でのキャリア教育の充実等の活性化を図る必要があると考えます。より実践を意識し、地域産業界等と連携した取組を進めることが地域全体の担い手確保、活性化にもつながると考えますし、それに向けた環境整備も積極的に進めるべきと思います。 私も、母校である庄内農業高校と、村山産業高校の両校を議会で訪れたことがあります。生徒たちはより実践的な学習をしており、感心させられましたが、設備のさらなる更新を望む意見もいただきました。 将来の山形県を担う人材を育成する産業系高校の活性化に今後どのように取り組むのかを教育長に伺いまして、私からの質問とさせていただきます。 御清聴ありがとうございました。 ○議長(坂本貴美雄議員) この場合、答弁を求めます。 答弁の順は私から指名します。 岡本みらい企画創造部長。 ◎みらい企画創造部長(岡本泰輔君) JR陸羽西線活性化策についてお答え申し上げます。 陸羽西線は、高齢者や学生など地域住民の重要な交通手段であるほか、内陸と庄内地域を結ぶ路線であり、県内外の観光客等の移動手段としても必要不可欠なものでございます。 今般、新庄酒田道路のトンネル工事に伴い、本年五月から列車の運行を休止し、令和六年度中まで代行バスが運行されます。これにより、鉄道より所要時間が長くなることや、さらなる利用者の減少、将来的な廃線につながるのではないかということを心配する声があることは承知をしてございます。 JR東日本からは、工事終了後に列車の運行を再開することを確認しておりますが、再開後に陸羽西線が減便もしくは廃線という方向に行くことがないよう、県・市町村・経済団体等から成る山形県鉄道利用・整備強化促進期成同盟会にて毎年度実施しております要望活動などにおいて、JR東日本に対してしっかり申し上げてまいります。 また、利用者の減少などの状況を踏まえると、利用拡大にこれまで以上に取り組むことが必要であり、地域住民の利用促進、観光等の交流人口拡大の両面から取組を進める必要がございます。 このため、県としましては、市町村やJR等とも連携しながら、地域住民の利用促進に向けて、地域で守る地域の鉄道として、陸羽西線に対する住民意識の醸成を図る取組や、交流人口の拡大に向け、地域資源を活用した特色ある取組、また、列車が運休している状況でもありますので、例えば線路を活用した取組なども検討してまいりたいと考えてございます。加えて、沿線市町村、関係団体、県などから成る陸羽東西線利用推進協議会においても様々な利用拡大策を実施予定であり、県としても後押しをしてまいります。 これらの取組により、令和六年度の運行再開を見据え、沿線市町村などと連携して陸羽西線の活性化を図ってまいります。 ○議長(坂本貴美雄議員) 布川しあわせ子育て応援部長。 ◎しあわせ子育て応援部長(布川理枝子君) 地域で支える子育て支援についてお答えいたします。 誰もが安心して子供を育てることができ、幸せを実感できる社会の実現のためには、子育てを親だけが担うのではなく、行政、地域、企業、NPOなどの多様な主体と若者から祖父母世代までの様々な世代の人が互いに連携・協働することにより、地域ぐるみで子育てを応援し、支援する取組が重要であると考えております。 県ではこれまでも、市町村と連携し、子育て家庭が地域において気軽に交流し相談できる場を創出するため、子育て支援団体の立ち上げや育成の支援に取り組んできたほか、子育て家庭が交流を深めるための子育てサロン等の充実、中高生と乳幼児との触れ合い体験、祖父母世代と子供たちとの交流など、様々な世代が地域の子供と関わる機会を創出し、地域みんなで子育てを応援する機運の醸成を図ってまいりました。また、令和二年度からは、一歩踏み込んだ取組として、活力ある祖父母世代に子育て支援の担い手となっていただくため、他孫(たまご)育て支援事業を実施し、子育て支援センター等でお手伝いいただくシニアボランティアの養成に取り組んでおります。 コロナ禍により子育てに対する不安感や孤立感が強くなっていることから、身近なところで相談できる地域の子育て支援団体の役割はますます重要となっております。県としましては、引き続き、子育て支援者に対する研修やボランティアの養成等により地域の子育て支援体制の充実を図るとともに、社会全体で子供を育てる機運を高め、子育て家庭が温かく優しい地域社会の中で様々な方に支えられて子育てができるよう、市町村や支援団体の声をお聞きしながら、地域ぐるみでの子育て支援の充実に向け、しっかりと取り組んでまいります。 ○議長(坂本貴美雄議員) 地主農林水産部長。 ◎農林水産部長(地主徹君) 私には五問質問をいただきましたので順次お答えいたします。 初めに、人・農地プランにおける農地の集約についてです。 本県の令和二年度の農地集積率は六七・五%と、全国平均五八%より九ポイント高く、特に水田では七五・七%と高い集積率となっております。一方、水田の集約につきましては、地力や用水の利便性、一区画の大きさが異なる水田を交換しながら進める必要もあり、農地の受け手と出し手はもとより、受け手となる担い手同士の話合いが不可欠であります。市町村が策定しております人・農地プランは、地域の農地と担い手のあるべき姿を示す地域農業の道しるべであり、プランの着実な実践が、集約を進める上でも重要となります。 県では、プランの実践や農地の集積・集約化を後押しするため、昨年度から全ての市町村・農業委員会に出向き、プラン推進上の課題や悩み等について意見交換しております。意見交換では、「話合いの進め方が分からない」「話合いを進めるリーダーがいない」「市町村のマンパワーが足りない」等の声をお聞きしたことから、今年二月に山形県農地集積・集約化プロジェクト会議を立ち上げ、行動計画となるアクションプランを三月に策定したところです。 アクションプランに基づき、地域の話合いをサポートするため、今年度は、農業委員や市町村職員を対象に、話合いの場で発言を促したりまとめたりする農業ファシリテーターを養成する研修会を開催するほか、新たに話合いのマニュアルを作成します。さらに、総合支庁単位で関係課とやまがた農業支援センター、農業会議等による支援チームを設置し、集約の意欲が高い市町村や地域をモデル地区に設定しながら、伴走型で農地の集約を支援してまいります。 県としましては、こうした取組を通して集約の課題解決策やモデル事例を見いだし、優良な事例の横展開を図りながら、水田における集約の取組を一層加速してまいります。 次に、人・農地プランにおける担い手の確保についてお答えいたします。 農業者が減少する中で、水田を守っていくためには、大規模経営体を育成し水田を集積していくことが重要でありますが、大規模経営体においても、面積拡大が限界に達している例も見られております。こうした中で、中小の兼業農家や半農半X等の方が、個々の経営規模の拡大や複数農家が共同で営農する集落営農を目指すことは、担い手の新たな候補として期待を寄せるところです。 政府においては、今年五月の農業経営基盤強化促進法の改正により、人・農地プランの担い手について、これまでの認定農業者などに加え、新たに「継続的な農地利用を図る者として市町村が認める者」が追加されました。しかしながら、この新たな担い手については具体的なイメージが示されておらず、現場では、人・農地プランにどう位置づけるか模索している状況にあります。 県では、政府の動きに備え、昨年度、元気な地域農業担い手育成支援事業を創設し、市町村と連携の下、中小規模の農家を多様な担い手として支援しております。具体的には、複数農家で集落営農法人を立ち上げ、水田を集約化し田植機や防除用ドローンを導入する取組や、経営継承を目指す小規模農家が規模拡大に必要な機械を導入し継承を準備する取組などを支援しております。 さらに、基盤強化法の改正では、これまでの農業経営相談所を改組し、新規就農者等の育成・確保を強化するため、就農相談から経営の定着・発展まで一貫してサポートする体制を都道府県が整備することとされました。これを受け、今月にも、仮称ですが山形県農業経営・就農支援センターを立ち上げ、県や市町村、農業団体の連携の下、オール山形で新たな担い手確保に取り組んでまいります。 こうした重層的な取組を展開することで、人・農地プランを支える多様な担い手の確保に全力で取り組んでまいります。 三つ目は、二二年産の水田における作付状況についてです。 六月二日に農林水産省が公表した水田における四月末現在の作付意向の調査結果によりますと、主食用米については、国全体で前年実績比三%程度の減少を図る目標に対し、本県では、これまでの取組により、目標を上回る「三から五%程度減少傾向」という区分になり、「生産の目安」に沿った米生産が着実に行われていく見込みです。 また、農林水産省の作付転換の方針に基づき、本県でも、飼料用米のほか加工用米、新市場開拓用米、麦・大豆などが「増加傾向」となり、水田活用の直接支払交付金や水田リノベーション事業などの助成制度を活用した作付転換が進められております。 調査結果を市町村農業再生協議会ごとに見ますと、作付転換の調整過程ではありますが、ほとんどの市町村で目安の達成に向け「減少傾向」である一方で、一部ですが、「増加傾向」「前年並み傾向」とする市町村があります。 「生産の目安」は、県の農業再生協議会から市町村の協議会に提示し、個々の生産者に対しては市町村が提示する仕組みで達成に取り組んでいるものであり、個々の生産者の状況把握は市町村協議会の役割となります。制度上、生産調整への参加は自主判断とされているため、生産者に需要に応じた米生産への理解と協力を求めるとともに、一つに翌年度の産地交付金の加算措置、二つに土地利用型作物関連補助事業の優先採択、三つにつや姫、雪若丸の生産者の優先認定、この三つの策を講じ、「生産の目安」の達成を促進しております。 本県農業の基幹である稲作経営の安定のためには、今後とも需給バランスを維持することが不可欠であり、オール山形で需要に応じた米生産の推進に引き続きしっかりと取り組んでまいります。 四つ目は、県産米の作付に係る今後の取組についてです。 雪若丸の作付面積については、毎年七月頃に開催している各界の代表や流通・販売関係の専門家等で構成するブランド化戦略推進本部において、各生産組織の意向、取扱業者の意見等をお聞きしながら、生産・販売状況等を詳細に分析し、決定しております。 雪若丸は、平成三十年度のデビュー前から生産、流通両面で様々な取組を進め、ブランド化を図り、一定の成果を収めています。 生産面では、生産組織登録制度を設け、適地作付、栽培マニュアルの遵守、出荷基準の目標など、ガイドラインを設定し生産組織自らの責任による栽培管理体制の構築を推進するとともに、各生産組織に普及指導員による専任サポーターを配置し個別指導等を実施するなど、食味・品質のレベルアップに取り組んでおります。 こうした取組により、品種特性や栽培技術等について生産組織の理解が進んだことから、流通・販売面では食味・品質について実需者の評価は高く、少しずつではありますが、県外での家庭用の販路が拡大し、固定客が増えつつある状況です。また、業務用としても、白く美しい炊き上がりや粒の膨らみのよさ等が評価され、大手コンビニのおにぎりや全国展開する宅配ずしチェーン店で採用されるなど、販路拡大が進んでいる状況にあります。 一方、人口減少や産地間競争の激化、コロナ禍の影響を受けた全国的な在庫の増加など、米を取り巻く環境は厳しい現状にあります。 雪若丸の作付につきましては、主食用米全体の需給バランスを踏まえ、高品質・良食味生産の徹底、着実な需要の確保により、一定の価格水準を維持することを前提に、はえぬきからの転換も含め、マーケットインの視点に立った適切な生産量を設定し、雪若丸ブランドの一層の定着にしっかりと取り組んでまいります。 五つ目は、米の消費と利用拡大の考え方についてです。 県産米の利用拡大に向けては、県産米全体を牽引するつや姫、雪若丸のブランド化に向けた戦略的な取組をはじめ、様々な施策を展開しているところです。 販売促進に当たっては、特に食事の機会を伴う飲食店や宿泊施設は県産米の広告塔としても期待されることから、つや姫、雪若丸を提供する料理店、旅館・ホテルなどを対象に登録制度を設けており、その登録施設数は、現在四百四十一施設となっております。 こうした登録施設とさらに連携を図り、今年度新たに、県内宿泊施設の接客スタッフが県産米のおいしさをお客様に伝えるための研修等の取組への支援や、飲食店の協力によるつや姫、雪若丸の特徴を生かしたレシピ動画の発信などの取組も展開しながら、県産米のさらなるファン拡大につなげてまいります。 また、県内介護老人福祉施設、介護老人保健施設においては、九割ほどがはえぬきを中心に県産米を使用している状況ですが、本県への進出企業や本県ゆかりの企業の社員食堂において「山形フェア」を開催するなど、企業にも協力いただきながら、県産米のさらなる利用拡大を図ってまいります。 一方、今般の世界的な小麦価格の高騰を受け、米粉が再び注目されております。農業総合研究センターにおいては、米粉用途に適した「粘らない」等の特性を持ち、かつ収量性にも優れた品種の開発を進めるとともに、利活用の面では、米粉パンのような従来の商品だけでなく、米粉麺の技術開発や、お菓子等に用いるあん、米粉あんの加工特性を明らかにするなど、商品開発に取り組んでおります。 こうした多方面からの施策を展開し、今後とも、消費喚起につながる取組を進め、県産米のさらなる利用拡大を図ってまいります。 ○議長(坂本貴美雄議員) 高橋教育長。 ◎教育長(高橋広樹君) 産業系高校の活性化についてお答え申し上げます。 技術革新が急速に進展している中、専門的・実践的な知識と技術を身につけた職業人材を育成する産業系高校の役割は極めて重要であり、本県産業を支える担い手確保の面からも、産業系高校への期待は大きいものと認識しております。 産業系高校の活性化に向けましては、教育課程の魅力向上と地域に根差したキャリア教育の充実が重要です。このため、地域の優れた経営者や技術者との交流を通して専門的・実践的な技術の習得と地域企業への理解促進が図られます多様なインターンシップに積極的に取り組んでいるところであります。また、大学と連携した高度先端技術に関する技術指導やビジネスアイデア等各種コンテストへの参加を通じて、起業家精神の醸成や新たな地域ビジネスの創出にもつなげ、産業系高校ならではの学びを創造・発信してまいりたいと考えております。 他方、産業系高校において時代が求める知識や技術を習得するためには、先端的な産業教育設備が必要です。県教育委員会では、毎年度計画的な整備に努めてきたところですが、令和二年度におきましては、政府の補正予算を積極的に活用し、これまで導入が難しかった最先端の工作機器や実験装置など十億円に及ぶ産業教育設備を全ての産業系高校に配備したところであります。 今後の産業教育の在り方につきましては、現在、産業界の有識者等から成る山形県産業教育審議会におきまして、デジタル化への対応やアフターコロナを見据えた中長期的な展望に立って検討が進められており、本年九月に答申をいただく予定となっております。 県教育委員会といたしましては、本答申も踏まえ、引き続き地域産業の最前線で活躍できる人材の育成に向けまして、産業界、大学、市町村等との連携を一層強化しながら、ソフト、ハード両面から産業系高校の活性化に努めてまいります。 ○議長(坂本貴美雄議員) この場合、休憩いたします。 午前十一時十五分再開いたします。     午前十一時三分 休憩     午前十一時十五分 開議 ○議長(坂本貴美雄議員) 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑及び質問を続行いたします。 三番今野美奈子議員。 ◆3番(今野美奈子議員) 県政クラブ今野美奈子でございます。 いまだ終わる気配が到底感じられないロシアによるウクライナ侵攻の悲惨な現状には、私も胸が締めつけられるような思いでいます。 このような状況の中、吉村知事は、二〇二二年三月という早い段階でウクライナからの避難者の受入れを表明し、山形市内の県営住宅をその受入先とすることを公表しました。必要な方に真っ先に支援策を打ち出し実行するという、いつものように迅速であったかい、吉村知事らしい適切な対応でありました。ウクライナで起きている事態が早く終息することを願ってやみません。 さて、今年の二月頃の県職員採用案内のキャリアパスのページに、当時の環境エネルギー部環境企画課の女性課長が御夫婦で三人の子育て、家事などを共に担っているといった内容が紹介されておりました。 四十年くらい前は、女性が就職して最初に教えられた仕事は、棚にあるこれらのお茶茶わんは誰のものかを全部覚えることであることや、ある事業所では、同期の男性より自分の給料が低く、それは男性より低い賃金の仕事を最初から指定されていたと知り、自分の価値が性別で判断されがっかりしたなどといったことは、民間で働いていた女性の会話の中では、よく耳にする話でありました。 あれから四十年。課題は多いものの、女性を取り巻く環境は少しずつ変化してきました。県は、このたびの人事異動で、課長級以上に昨年度の七十名から七名多い七十七名の女性職員を登用しました。物事を決定する場に女性が少ないか、あるいは皆無であったことを常々疑問に思っておりましたので、管理職としての活躍がかなう環境が整いつつあることに大いに期待しているところであります。 さきの二月議会では、女性校長の登用の少なさを指摘する質問がありましたが、同じ思いで耳を傾けておりました。しかし、あまり表に出てきませんが、管理職の、とりわけ教頭職は激務であり、その業務内容には見直しが必要なことが多いと認識しています。女性教頭が増えなければ女性校長も増えず、本務に集中できるような働き方の見直しが、ここでも必要であります。 ところで、本県では先頃、県立中学校の入学者について、定員を男女同数程度としていたところを成績順で合否を決めるという方針を出しました。私はそれまで、男女同数ということは大変いいことだと思っていましたが、改めて考えると、同数にするために点数のいい女子より低い男子が合格できる可能性があるということであります。性別に関係なく、子供の努力が報われるような対策に期待いたします。 出産や家事、介護、子育てなど女性が個人の問題としていたことを社会の課題として、公の場で理解を求めることが可能な時代になってきました。男性も女性も共に対等の立場で知恵を出し合い、県民のための県政運営を担っていただきますことを御期待申し上げ、質問に入らせていただきます。 まず初めに、外国からの攻撃への備えについてお尋ねいたします。 先ほど申し上げたような世界情勢の中で、日本海側に位置する本県にとっても、それとは違う脅威が幾度となく押し寄せてきています。 二〇二二年三月、北朝鮮は新型ICBM級弾道ミサイルを日本海に向けて発射しました。このときのミサイルはこれまでとは次元の異なる深刻な事態であると国は発表しています。その後も頻繁に弾道ミサイルの発射を繰り返し、六月に入って一週間とたたないうちに複数のミサイルの発射が確認されています。本県ではこれまで、漁船への被害の確認はされておりませんが、加茂水産高校の漁業実習船「鳥海丸」や本県の漁業者をはじめ県民の命に関わる非常事態など避けなければなりません。 ミサイル発射を事前に知ることは不可能であり、そのため、直後の安全を確保することは容易なことではありません。報道によると、国は、今年四月に、防衛力強化の見直し、住民避難行動の実施など計画しているとしています。 住民避難については、海岸沿いにお住まいの方々からは、「地下シェルターはあるのか」という心配する声もいただいています。ウクライナには、地下にある核シェルターが長い歴史の中で現存し、多くの人の命を守る場所となりましたが、NPO法人日本核シェルター協会によれば、人口当たりの核シェルターの普及率は、スイスやアメリカ、ノルウェーでは八〇%から一〇〇%であるのに対し、日本は〇・〇二%といった実態であるとしています。 それでは自分たちの避難場所はどこになるのかと話題になり、特に海のそばで生活をしている人々や加茂水産高校に通わせている御家庭にとっては、いつどこに着弾するか分からないミサイルに対し、我々が思うよりずっと心配や不安を抱えて過ごしていらっしゃるのだと感じた次第です。 こうした事態となった場合、県では直ちに関係地域に伝達することとしておりますが、県民の安全確保のための住民避難について、県としてはどのようなことをお考えでしょうか。 また、国に対し、政府主導での明確な安全対策を早急に講じるように要求する必要があります。本県のみならず、秋田県や新潟県など日本海側に位置する隣県とともにアクションを起こすことも一つかと思いますが、併せて県のお考えを防災くらし安心部長にお伺いいたします。 次に、県立博物館に対する評価と今後の在り方についてお尋ねいたします。 県内外の多くの方から御利用いただいている施設でありますが、昭和四十六年に開館した施設であります。我が会派で調査視察を行ったときは、職員の分かりやすい解説のおかげで何とか興味深く展示物を理解することができましたが、今や当たり前の音声解説、デジタル機能などは、残念ながら見当たりませんでした。加えて、学芸員の資格をお持ちの教員が主に勤務しておりましたので詳しい説明をいただくことができましたが、個人的には、自分の子供の頃の理科の授業を受けているような感覚に陥りました。 既に授業でタブレットを活用している現代の子供たちに、さらに楽しいと感じてもらえるような、また、幅広い年代層や障がいのある方にももっと興味関心を持っていただけるようなちょっとした工夫が現在の博物館にも必要だと感じた次第です。 コロナ禍の影響も否めませんが、入館者数は、二〇一五年度の五万人弱から二〇二〇年度は二万人にも達しない現状であります。今年国宝に指定されて十年目を迎えた国宝土偶「縄文の女神」や、ヤマガタダイカイギュウ化石など、魅力的なものが展示されているのですから、学ぶ博物館にプラスして楽しめる博物館を目指し、もっと広く、多くの方に見ていただきたいものですが、まずは現在の博物館をどのように評価し、どう生かしていくのか伺います。 そして、さらなる博物館の魅力を発揮するためには、学芸員資格を持つとはいえ、転勤などによって年度ごとに替わる教員ではなく、ある一定程度の長い期間、専門的に運営できる学芸員や、他の博物館と親しく交流可能な人材が多く配置されることが大切な要素ではないかと認識いたします。近年、教員不足も課題となっている中、学芸員という専門的職員としてこれまでずっと教員が配置されてきたその経緯と今後の考え方を伺います。 最後に、時代に即した次の博物館について現在検討中とのことでありますが、その進捗状況を併せて観光文化スポーツ部長に伺います。 次に、動物愛護管理推進計画についてお尋ねいたします。 一般社団法人ペットフード協会が二〇二〇年十二月に調査した全国犬猫飼育実態調査結果によると、犬は八百四十八万九千頭、猫はそれより多い九百六十四万四千頭でありました。この合計の一千八百十三万三千という数は、二〇二一年四月現在の十五歳未満の子供の数一千四百九十三万人より何と多いと総務省が発表しています。 近年の新規飼育者の飼育頭数は、犬、猫ともに二〇一八年から次第に増加傾向にあり、二〇二〇年の増加率は二〇一九年よりも高く、犬は二〇一九年比一四%増、猫は一六%増でありました。飼育には、餌代はもとより医療費など、ほかに様々な経費がかかり、犬は月平均一万二千二十円、猫は七千二百五十二円かかるということであります。 このような経費をかけてもペットを飼いたいという主な理由は、コロナ禍の影響で、ペットとの生活に癒やしを求め、家族内でのコミュニケーションを深める傾向がうかがえると同協会は分析しています。身近なところでは、婚姻率の低下とともに孫のいない世代が増え、ペットを子や孫のようにかわいがる家庭も中にはあるようです。 二〇一一年の東日本大震災をきっかけに、国は動物救護対策に係る法律等の整備を進めました。災害対策基本法に基づく防災基本計画の修正が行われ、自然災害対策の各編に避難所、仮設住宅における家庭動物の受入れ配慮に関する記載が追加されました。さらに、災害時におけるペットの救護対策ガイドラインも示されました。 県は、このたび、人と動物の調和の取れた共生社会の実現に向け、二〇二二年度から十年間の県動物愛護管理推進計画をまとめました。その施策は、「動物の適正な飼養管理の徹底」や「動物愛護精神の醸成」及び「県民の安全と安心の確保」そして「取組を推進するための環境の構築」という四つを柱としています。 その中の一つ、「県民の安全と安心の確保」における「人とペットの災害対策の推進」の施策では、「ペット同行避難の受入れ体制の整備」を掲げています。 県の資料によると、ペット受入れ可能な避難所は三十五市町村のうち十三市町にあると記されていましたので、具体的にどんな準備をして、どう受け入れているのか、受入れ可能と記されているある市にお聞きしました。すると、地域の各避難所の運営主体となる人たちがまずペットを受け入れるかどうかを協議し、その結果によって受入れが可能かどうかを決めるとのことであり、現在、具体的に必要なものなどは準備していないといった内容の説明でありました。つまり、受入れを可能としている十三市町でも、避難所を運営する方々の理解と協力なくしてはペット同行避難はできないというのが実態のようです。 昨年、本県の令和三年度県政アンケート調査結果を拝見しました。多岐にわたる内容の調査結果に、改めて県政における取組のポイントを県民の皆さんにお示しいただいた気がいたしました。その中でも、これまであまり話題に上がらなかったこの動物愛護に関する項目が取り上げられており、興味深く拝見しました。特に、ペットを飼っている方のうちの六四・四%が災害時にペット同行避難を希望しているといった実態や、逆に、およそ三四%の方がペットを理由に避難しないでペットと一緒に家にいると答えていることなど、関心の高さを改めて理解したところです。 東日本大震災では、安全な場所に避難していた人がペットを心配して戻ったために災害に巻き込まれたり、また、ペットを理由に避難しなかった人もいたりしました。 「動物は家族同然」と言い切る人々が増えた時代に、こうしたことを踏まえ、「県民の安全と安心の確保」における「人とペットの災害対策の推進」の施策を県としてどのようにお考えか、そして、それを市町村とどう連携して進めていくのか伺います。 また、平成二十八年度に設立された県動物愛護推進協議会では、複数の関係団体がそれぞれ役割を担っています。例えば獣医師会であれば治療や予防、教育関係であれば動物愛護精神の醸成などといった具合です。 柱の一つであります「取組を推進するための環境の構築」には、保健所が管轄する動物愛護センターの機能強化が掲げられていますが、時代に即した機能や被災動物救護拠点としての機能充実、ペット同行避難場所の確保・運営指導などが期待でき、そうなれば、こうした協議会との連携もさらに深くする必要があると認識いたします。 動物愛護センターの機能強化をどのように進めていくのか、また、県動物愛護推進協議会との連携についてどのようにお考えか、併せて防災くらし安心部長に伺います。 続きまして、男性の育児休業取得についてお尋ねいたします。 実は、冒頭御紹介した県職員の採用案内で私が最も印象に残りましたのは、育児休業を取得したという男性を紹介した記事であります。この方が当時、健康福祉部新型コロナワクチン接種総合企画課に所属していたことに驚き、と同時に、自分の思慮不足を反省した次第です。もし自分が同僚としてそこにいたら、このさなか、気持ちよく送り出すことができただろうか、もし私の家族がそうすると言ったら心から喜べただろうか、などと考えていたわけです。 しかし、すぐに、私も含めた管理職年代が生きてきた時代の男性の育児との関わり方の違いを認識いたしました。もはやその時代と現代とは相当違うということをできるだけ早い段階で気づき、時代に即した物の見方に変えていかなければ自分も社会も何も変わらないのだと、改めて自分と向き合うきっかけとなりました。 二〇二一年六月に育児・介護休業法が改正されました。これは、二〇二三年四月一日の施行まで三つの段階を踏まえて推進されるものであります。第一段階は、雇用環境整備、個別の周知・意向確認の措置の義務化、そして有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和をする内容であります。そして、今年の十月一日より施行される第二段階は、事業主に産後パパ育休の創設と育児休業の分割取得を可能にすることを求めています。育休を理由とする不利益な取扱いの禁止や、「男のくせに」という言葉に代表されるようなハラスメント防止に関わることなども義務づけられています。また、第三段階は、取得状況の公表を義務づけるものでありました。 男性の育児休業取得を率先して進めている本県でありますが、中小企業が多く、労働生産性の向上などが事業主には課題となり、また、例えば教員には産休代替が見つからないといった実態が示すように、慢性的な人手不足の職種もある中で、かなりの努力が求められることと予想します。 育児・介護休業法が改正され、本県の課題となることは何か、そして育児休業がどの職場でも取りやすくなるようにどのような支援があるのか、また段階的にどう取り組んでいくのか、産業労働部長に伺います。 次に、障がい者の工賃向上に向けた取組についてお尋ねいたします。 本県は、令和三年度の組織機構の改正によって新たに障がい者活躍・賃金向上推進室を設置しました。これまであまり大きな改善が見られなかった障がい者の工賃がいよいよ向上する方向に向かうその出発点となるものが設置されたものと大いに期待をしているところです。 県の令和二年度工賃実績額によると、県内百五十の就労継続支援B型事業所では、月額三万円以上の工賃の事業所は三か所、二万円台が五か所、一万円台が八十四か所、そして一万円未満のところが五十八か所でありました。このように、百五十事業所のうち、約九五%に当たる百四十二事業所が一万円台かそれ以下の工賃であるということです。一万円以下の工賃の中には、千円台や二千円台のところも複数見られます。 厚生労働省の令和二年度工賃の実績によると、本県の平均工賃は、就労継続支援B型事業所で一万一千六百九十一円であり、これは全国最下位であります。その資料では、工賃平均が一番高いのは徳島県の二万一千六百三十一円であり、東北では岩手県が一番高く、一万九千二百五十三円でありました。この岩手県では、令和三年度から令和五年度までを第四期岩手県障がい者工賃向上計画の期間として集中的に取組を行っているようです。 本県では、障がい者就労事業所工賃向上プロジェクト推進事業において、共同受注センターによる取引のあっせん・紹介及び「ふれあいパートナーシップ企業」の募集などして取り組むこととしていますが、どれくらいの企業からの協力を目標とし、工賃向上はどれくらいの向上を目標としているのか、そして、県内全域を範囲とする共同受注センターには人員が三人しか配置されないようですが、どのような取組によってその目標を達成しようとするのか伺います。 そしてこの場合、企業や作業所間の互いの施設運営などの情報交換が促進されるよう、年度ごとの目標額と実績額、全国との比較、共同受注センターの実績などを分かりやすく公表し、その実績を県民と共有できるようにしてはいかがかと思いますが、併せて健康福祉部長にお考えを伺います。 続きまして、月山道路の安全で快適な道路交通についてお尋ねいたします。 月山道路は、山形を代表する景勝道路として、旧建設省と「道の日」実行委員会により制定された日本の道百選に選定されている道路であります。全三十・九キロ区間の中に数多くの橋梁やトンネルなどの構造物があり、日本有数の豪雪地帯である地域を横断するため、開通から一九九〇年までは冬季の夜間は通行止めとなっていました。その後、交通量の増加や山形自動車道に接続する高速ネットワークに組み込まれた道路として、道路監視や除雪の体制が強化され、年間を通じて終日通行することができるようになりました。 この道路は、庄内地方にとっては本県内陸部とつながる命の路線であり、高速道路で関東方面や仙台方面と庄内地方を結ぶ重要な路線でもあります。一たび不通になれば、これらの地域の生活に大きな支障を来します。 一九九六年六月に、旧朝日村田麦俣にある八紘沢(やひろさわ)橋の橋脚にひびが見つかり、三日間にわたって全面通行止めとなったときは、この影響で物流や観光業など約一億二千万円の経済損失があったとされ、地域経済は大きな打撃を受けたと言われています。 二〇〇四年五月には、湯殿山スキー場入り口付近の旧村道で地滑りのおそれがあるとして、この付近の区間において全面通行止めになりました。通行止めになった当初は、復旧の見込みが立たず、この道路を経由する高速バスが新庄経由になるなど、ほかにも影響を受けた業界は多くありました。そして、一週間後にようやくその付近の僅か五百メートル区間が終日片側交互通行になり、全面通行止めが解除されるまでには十八日間を要しました。 近年では、二〇一五年に起きた雪崩によって四日間の通行止めとなり、各方面に大きな影響があったと報道されています。 このように、月山道路は生活に密着した道路であり、特に物流にとっては重要な道路と認識しています。 そして現在、実際に利用していると道路環境の様々な実態に気づきます。 まず第一に、道路照明灯が少ないため夜間は暗く危険であり、特に冬は、第一トンネルの付近は暗い上に防雪柵等もなく、ふぶいてホワイトアウトとなり大変危険であること。 第二に、路面が簡易補修による舗装補修のため段差が多くあることや、穴が空いているかのような部分が複数箇所見られるなどにより、常に体が揺れ、体調への影響が大きいこと。 第三に、道路補修工事のために複数箇所の片側交互通行区域が一年のうちに何度も、それも毎年あり、そのために時期に関係なく工事箇所で止められ、それによる渋滞が発生し、観光への影響が懸念されること。 第四に、トンネルの入り口から出口まで連続して、ところどころタイルが剥がれ落ちている状態にあり、工事中である場合はさらに工事通路のようになり、よほどきれいとは言えない道路と化していること。 以上申し上げた実態は、近年始まったことではなく、何年も前からずっと変わらない状況です。国土交通省が県民の安全を守るために計画的に常に工事をしていることにはとても感謝しています。しかし、景観が抜群な山道には、安全性と美しさと利便性とが調和した道路整備が欠かせないものと認識いたします。 月山道路が安全安心で美しい道路となるために県はどのようにお考えか伺います。 さらに、月山インターチェンジから湯殿山インターチェンジ間の月山道路が山形自動車道の間に割り込むように接続しています。このため、庄内と内陸は高速道路で接続していない状態が続いています。この区間は、山形自動車道の計画区間で唯一基本計画のままとなっています。この未着手区間の事業化に向けた県の取組状況について、併せて県土整備部長に伺います。 最後に、県有遊休財産についてお尋ねいたします。 遊休財産ですから、はるか前に建設されたものが多いわけですが、その筆頭に、私は、昭和二十七年に開設された鶴岡病院があると認識しています。ここは、後に移転し、現在、こころの医療センターとして存続している病院です。 増築を重ねた昭和の建物であり、既に昭和二十七年に建設された部分は残っておりませんが、現存する最も古いものは昭和三十三年に竣工された車庫棟であり、続いて昭和四十二年竣工の第一病棟などほか四階建ての建物であります。全体の面積は、病院敷地、作業療法敷地、グラウンド、公舎跡地を合わせるとおよそ五万平米で、東京ドーム一個よりももう少し大きい広さです。 鶴岡病院は精神科病院でしたので、入院病棟の窓には鉄格子があり、それは今も見えるところに残されたままになっています。白い壁のその建物は金峯山の麓に位置しており、周りは田畑に囲まれていますが、近くには民家が多く、昔からの住宅が軒を連ねております。地元住民からは、外壁の劣化、崩落のおそれなどの安全性や、汚れがひどい外観、そして何より建物が病院であったことなどから、一日も早く撤去してほしいといった御要望をいただいています。 また、こんなことがありました。今度新しく移転するこころの医療センターの説明会の折、以前の精神科の治療と現代のそれとを比較した説明の場面で、鶴岡病院の鉄格子や、症状に合わせて使用した道具などが写真で紹介されました。それを見た患者の家族は、人権に配慮されなかったような当時の治療を思い出し、娘はかわいそうな環境で生活した、そして自分がそうさせてしまったのだと会場で涙を流しながら聞いておられました。配慮のあまり感じられない説明に憤りを感じましたが、いまだに残るその建物の存在そのものにも苦しい思いを抱いて生活している方々が多数いらっしゃるのです。また、これまで二回ほど人が侵入したといった話を鶴岡市から聞いています。 なぜ廃墟のままの状態が続いているのか、いつまで続くのか。これまでは跡地利用を視野に入れての検討であったかもしれません。しかし、もはや待ったなしの状態であり、安全管理はもとより、様々な県民の気持ちに寄り添う早い決断をお願いしたいところですが、今後どのような対応をお考えか、病院事業管理者に伺います。 私からの質問は以上です。ありがとうございました。 ○議長(坂本貴美雄議員) この場合、答弁を求めます。 答弁の順は私から指名します。 大澤病院事業管理者。 ◎病院事業管理者(大澤賢史君) 旧県立鶴岡病院の管理方針についてお答えを申し上げます。 旧県立鶴岡病院は、およそ四万八千平方メートルの敷地に、鉄筋コンクリート造四階建ての管理棟や二階建ての病棟など、延べ床面積合計でおよそ一万一千平方メートルの建物が現存しております。 平成二十七年に新病院の開院に伴い用途廃止した後の管理については、防犯面の対策としまして、建物・駐車場の周囲にくいを打設してロープを張り、車の出入口二か所には車止めを設置し、敷地内への立入りができないようにしているほか、警備会社に委託して毎日巡回警備を行っております。建物内への侵入事案が発生しました後には、窓に木製の板を打ちつけるなど新たな侵入防止策を講ずるとともに、巡回の都度一階の全ての窓及び出入口の施錠や破損の確認を徹底するなどの警備の強化を行いました。また、敷地についても年三回の草刈りを行うなど、地域住民の方々が不安や不快感を抱かれないよう安全管理に努めております。 そのような中、鶴岡市からは、平成二十六年度以降、鶴岡病院等跡地を候補地としたサッカー専用競技場等の整備が重要事業として要望されてきたところであります。これを受け、病院事業局では、鶴岡市から具体的な意向を確認の上、平成二十八年度に譲渡願があった土地や建物二棟の不動産価格等の調査を平成二十九年度に実施しております。 一方で、この間、県立病院の経営は非常に厳しい状況が続き、平成二十九年度には資金不足比率が一〇%を超えたことから、平成三十年度に資金不足等解消計画を策定し、令和九年度の資金不足解消を目指し、一般会計から毎年多額の財政支援をいただきながら、経営改善に取り組んでいるところであります。 こうした現在の資金不足の厳しい経営状況では、八億円以上と見込まれる建物の解体費用等を病院事業局単独で捻出することは極めて困難でありますので、財源の確保を含めた跡地の利活用問題について、鶴岡市と病院事業局及び関係部局による勉強会を開催し、課題解決に向けた話合いを行っております。鶴岡市では、現在、跡地の具体的な利活用計画について改めて検討しているとお聞きしておりますので、その結果をよく聞いてまいりたいと考えております。 病院事業局としましては、直ちに建物を解体することは困難でありますが、現存する古い建物に対して地域住民等から不安の声などがあるとのことを真摯に受け止めまして、より一層の安全管理に努めるとともに、鶴岡市の意向も十分に伺いながら、建物の解体も含め、跡地の利活用の方向性について関係部局とともにしっかり検討してまいります。 ○議長(坂本貴美雄議員) 奥山防災くらし安心部長。 ◎防災くらし安心部長(奥山賢君) 私には二点御質問がございました。順次お答えいたします。 まず、外国からの攻撃への備えについてでございます。 ロシアによるウクライナ侵攻や北朝鮮の度重なる弾道ミサイルの発射などにより、国際情勢は緊迫の度合いを増しております。 こうした状況の中、県では、国民保護法や政府の基本指針に基づき、市町村や関係機関と連携し、武力攻撃事態等を想定した避難行動の普及啓発や避難所の指定などを進めております。 武力攻撃事態等が発生した場合、全国瞬時警報システムいわゆるJアラートが作動し、携帯電話のエリアメールや緊急速報メール、防災行政無線などを通して、政府から国民へ緊急情報が提供されます。 特に、北朝鮮から発射された弾道ミサイルは、発射から十分もしないうちに日本に着弾すると言われておりますので、緊急情報を確認した場合は、御自身の安全を第一に考え、落ち着いて、直ちに避難行動を取っていただくことが重要であります。 このため、県では、「屋外にいる場合は頑丈な建物や地下に避難する、近くに建物がない場合は、物陰に身を隠すか地面に伏せて頭部を守る、屋内にいる場合は、窓から離れるか窓のない部屋に移動する」などの、ミサイル落下時に取るべき行動を取りまとめたリーフレットを活用し、市町村と連携しながら普及啓発を行っているところでございます。 また、着弾の衝撃や爆風の被害を軽減するために有効な避難場所として、コンクリート造りの堅牢な建物や地下道など五百六十三施設を緊急時の一時的な避難施設に指定し、県の防災ポータルサイト「こちら防災やまがた!」に掲載するなど周知を図っております。 さらに、政府では、今年度から弾道ミサイル落下を想定した地方自治体との共同住民避難訓練を再開する予定とのことですので、県といたしましても、今後の政府の動向を注視してまいりたいと考えております。 政府に対する要請につきましては、全国知事会や日本海沿岸の十二府県で組織いたします日本海沿岸地帯振興連盟として、国民保護の充実や日本海における安全確保等の要望活動を行っております。今年五月には、緊迫する国際情勢を踏まえ、全国知事会から政府に対し、緊急時における国有資産の積極的な開放や実効性のある訓練の実施などの緊急提言も行っております。 県としましては、全国知事会等を通じ政府に必要な要望を行うとともに、万が一の事態から県民を守ることができるよう、政府や市町村、関係機関と一体となって、しっかりと対応してまいりたいと考えております。 続きまして、動物愛護管理推進計画についてでございます。 今年三月に改正いたしました山形県動物愛護管理推進計画では、「人とペットの災害対策の推進」を重要施策の一つとして位置づけ、避難所におけるペット同行避難の受入れ態勢を整備することといたしております。 避難所におけるペットの受入れについては、避難所の開設を担う市町村の理解が不可欠でありますので、県では、市町村職員等を対象に、平成二十六年度から「人とペットの災害対策セミナー」を毎年開催し、避難所の状況に応じたペットスペースの確保など、災害対策に係る周知啓発を進めてまいりました。 この結果、令和二年七月の豪雨災害時には、十五市町二十五か所の避難所で実際にペット同行避難を受け入れているところでございます。 県では、市町村のさらなる取組を進めるため、先週開催いたしました県・市町村防災対策連携会議におきまして、ペットを同行しての避難訓練の実施などにより避難所における課題を把握し、同行避難の具体的な検討を進めるよう、改めて市町村に要請したところでございます。 今後は、受入れの際に活用できる「ペット同行避難マニュアル」を策定し、取組がまだ進んでいない市町村を支援するなど、引き続き、ペット同行避難受入れ態勢の整備を働きかけてまいります。 次に、計画の柱の一つであります「取組を推進するための環境の構築」については、動物愛護センターの機能強化を挙げているところでございます。村山、最上、置賜の三か所の動物愛護センターにつきましては、既に改修や移転新築により動物愛護教室や譲渡会を開催できるスペースを追加するなど、愛護機能の強化を図ってまいりました。残る庄内につきましても、早期の移転新築を目指し、全てのセンターにおいて、平時には動物愛護精神の普及啓発の拠点として、また、災害発生時には被災動物の救護の拠点として活用できるよう機能強化を図ってまいりたいと考えております。 一方、施策を効果的かつ着実に推進していくためには、多くの関係者が連携して取組を進めていくことが重要でございます。 県獣医師会や動物愛護団体等を構成員とした動物愛護推進協議会に対しては、計画の進捗状況を毎年報告し、御意見をいただきながら、実効性のある施策を展開していくこととしております。 また、同協議会からは、動物愛護に熱意と知識を有する方を動物愛護推進員に推薦いただき、県で委嘱の上、譲渡活動への支援やペットの飼い方相談など、幅広く動物愛護行政に御協力いただいているところでございます。 県としましては、同協議会との連携に加え、県内の動物愛護団体の活動状況の把握に努めながら、動物愛護推進員、県獣医師会、社会福祉協議会、動物取扱業者、市町村等多様な主体と連携・協働し、人と動物の調和の取れた共生社会の実現を目指して、計画をしっかりと進めてまいりたいと考えているところでございます。
    ○議長(坂本貴美雄議員) 堀井健康福祉部長。 ◎健康福祉部長(堀井洋幸君) 障がい者の工賃向上に向けた取組についてお答えいたします。 障がい者の就労継続支援B型事業所につきましては、令和二年度における全国平均の工賃月額が一万五千七百七十六円となっておりますが、議員御指摘のとおり、本県の平均月額は全国平均よりもさらに低い状況でありますことから、工賃向上に向けた取組が喫緊の課題と捉えております。 県では、令和三年度から五年度までを計画期間とした第四期山形県工賃向上計画を策定し、その中で、令和五年度の平均工賃月額の目標を一万四千五百円としております。その実現に向けまして、生産性の向上やマーケティングに関する研修会の開催、経営の専門家による個別事業所への助言指導、さらには製品の開発や改良に要する経費への助成など具体的に取り組んでいるところです。 県内のB型事業所へのアンケート調査によりますと、工賃が向上しない理由として、「職員が多忙で企業等への営業活動ができない」「事業所と企業等がそれぞれの活動をあまり理解しておらず、取引相手が固定化し販路が広がらない」などの回答があり、事業所の営業力強化と企業等からの理解促進が課題であると考えております。 このため、今年度は新たに、B型事業所と企業等との橋渡しを行うコーディネーターを配置する共同受注センターの設置に向け、現在、関係機関との調整を進めているところであります。加えまして、B型事業所の売上げ増に積極的に協力いただける企業を「ふれあいパートナーシップ企業」として広く募集し、事業所の活動を周知するなど、工賃向上の取組を強化してまいります。 まず、共同受注センターにつきましては、令和五年度の取引目標件数を年六十件、その後は年百件とし、市町村や関係団体と連携しながら、企業側からの発注情報を幅広く収集するとともに、工賃単価の高い仕事の掘り起こしを行うなど、より有利な条件でB型事業所が取引できるようマッチングしてまいりたいと考えております。なお、運営に当たりましては、受注実績向上のため、営業活動等に詳しい専門家からも助言指導を受けることとしております。 次に、ふれあいパートナーシップ企業については、令和五年度末の登録企業数の目標を百五十社としており、社内販売や製品PR等への協力を促すことにより、今後の新規発注にもつなげてまいります。 また、実績等の公表につきましては、現在、各事業所の工賃の実績等を県ホームページで公表しておりますが、今後、共同受注センターの取引件数やパートナーシップ企業の登録件数なども分かりやすく工夫して掲載し、一層の理解促進を図ってまいります。 県としましては、こうした重層的な取組を展開することにより、障がい者の工賃向上を進めてまいりたいと考えております。 ○議長(坂本貴美雄議員) 我妻産業労働部長。 ◎産業労働部長(我妻悟君) 男性の育児休業取得についてお答えいたします。 育児に積極的に関わりたいという男性が増えている中、企業においては、労働者のニーズを踏まえた多様で柔軟な働き方や仕事と家庭生活を両立できる職場環境づくりが求められており、男性の育児休業の取得促進は大変重要と考えております。 このため、県では、男性の育児休業制度導入の必要性、それから男女ともに活躍できる職場づくりにつながるといったメリットについて、トップセミナーをはじめ、労働者を対象とした各種セミナーを開催し、労使双方の意識改革に取り組んでまいりました。 その結果、本県における男性の育児休業取得率は、令和三年山形県労働条件等実態調査で一五・一%と、前年の八・一%を大きく上回り、山形県男女共同参画計画に定める令和七年度の数値目標である男性の育児休業取得率一五%に達する状況となっております。 しかしながら、その取得状況を見ますと、常用労働者百人以上の企業では取得率が上昇しているものの、百人未満の企業では取得率が一〇%に届かない状況にあります。取得率全体の底上げには、県内企業の大部分を占める中小企業の育休制度導入が課題となっておりまして、制度の周知・理解促進はもとより、制度導入に必要な職場環境整備、事業活動を維持するために必要な業務の効率化と、こういった段階に応じた取組が重要であります。 このうち、制度の周知・理解促進については、今年三月、制度導入のノウハウや先進的に取り組む県内企業と取得者の声、改正育児・介護休業法のポイントなど、労使双方が活用できる情報を盛り込んだリーフレットを作成し、積極的に情報発信を行っているところでございます。 また、職場環境の整備については、これまで、社会保険労務士である職場環境改善アドバイザーが常用労働者百人以下の企業を訪問して、多様で柔軟な働き方について助言を行っておりますが、今年度は、男性育休のさらなる取得促進に向けまして、業務フローの見直しや省力化、環境整備に向けた政府の助成金の活用などについて、企業の実情に沿ってきめ細かく指導・助言を行ってまいります。 加えまして、中小企業でも育休制度を導入しながら事業活動を継続するためには、業務効率化による生産性向上といった視点も重要なことから、デジタル化等業務の効率化を図ろうとする企業につきましては、県の中小企業パワーアップ補助金等により支援をしてまいります。 県としましては、引き続き山形労働局や関係機関と連携しながら、県内企業における仕事と家庭生活を両立できる職場環境づくりを進め、多くの男性が希望に沿って育児休業を取得できるようしっかりと後押しをしてまいります。 ○議長(坂本貴美雄議員) 西澤観光文化スポーツ部長。 ◎観光文化スポーツ部長(西澤恵子君) 私からは県立博物館に対する評価と今後の在り方についてお答え申し上げます。 県立博物館は、歴史、民俗、自然など七分野の貴重な資料展示を行う総合博物館であり、生涯学習や交流の場を提供する本県の社会教育の中核施設として、また、本県を訪れる方々にとっては山形を知るスタートラインとして大切な役割を担っております。 県立博物館は、東北で最多クラスの三十万点を超える資料を収蔵し、これらを生かした企画展は、来館者アンケートでも高い評価を得ているところですが、一方で、施設の老朽化に加え、来館者のニーズも多様化していることから、県内外から多くの方に来館してもらうためには、より魅力的な展示の工夫が必要と考えております。 このため、今年度は、「縄文の女神」国宝指定十周年を記念し、新たに制作するデジタル映像を活用した特別企画展を開催するとともに、常設展示についても、QRコードを活用した館内説明システムの導入を図るなど、デジタル技術を活用しながら、展示内容の魅力を高めてまいります。 学芸員の体制につきましては、設置時の方針に沿って来館者の中心を小学生と想定し、学校教育の場として活用するため、教員の配置を行ってまいりました。これにより学校現場との連携を図るとともに、教育普及活動に習熟している強みを生かした企画展の開催などに寄与してきたところであります。 こうした点も踏まえながら、今後は、さらなる専門性の向上や継続的な調査研究につながる体制の強化に向けて必要な対応を図っていきたいと考えており、専門職員の配置についても検討・準備を進めてまいります。 次に、県立博物館の移転整備に向けた検討状況につきましては、博物館には、これまで果たしてきた役割に加え、今後期待される地域づくりや観光との連携などの多様な役割が求められていることから、まずは幅広く意見をお聞きした上で検討を進めていく必要があると考えております。 このため、今年度は、国内外の博物館に精通した専門家や、アートやデジタル分野のクリエーター、県内で地域活動に取り組まれている方々、若者などによる懇談会を設置し、新博物館の目指すべき姿や方向性などについて、新たな視点からの御意見や考えを伺う予定としております。あわせて、他県の先進事例についても調査を行い、こうした取組を通して、今後の具体的な検討につなげてまいりたいと考えております。 ○議長(坂本貴美雄議員) 小林県土整備部長。 ◎県土整備部長(小林寛君) 私からは月山道路の安全で快適な道路交通についてお答え申し上げます。 国土交通省が管理しております国道百十二号月山道路は、庄内地域と内陸地域の物流や交流・連携を支える、本県にとって重要な大動脈でございます。しかしながら、豪雪地帯を通過する山岳道路で、曲線や勾配が厳しい区間も多く、特に冬期は、吹雪や雪崩等による雪害も度々発生しております。 このように、月山道路は大変厳しい自然環境下にあることから、路面が損傷しやすく、舗装などの道路補修工事も多くなり、維持管理が大変難しい面がございます。また、一たび災害や道路の損傷などで全面通行止めとなりますと、国道四十七号や国道百十三号などへの広域的な迂回が必要となり、県民生活へ大きな影響を及ぼします。 このため、国土交通省では、多少工期が長くなるようなことがあっても全面通行止めとはせず、片側交互通行での補修工事を実施するなど、道路利用者に配慮して維持管理に努めていただいていると考えてございます。 県としましては、県民の皆様から寄せられる道路に関する様々な御要望などについては、国土交通省と行っている意見交換の場を活用しながら情報共有を密にして、引き続き、きれいで走りやすい道路環境の維持に努めてまいりたいと考えてございます。 また、月山道路は開通から約四十年経過している中で、近年、広域の物流・交流の拡大などとともに、担うべき役割が高まっているところでございます。このため、県では、運転のしやすさや定時性・速達性の確保など、将来に向け高速道路として整備することが必要と考え、これまでも知事を先頭に政府への働きかけを重ねてまいりました。 こうした中、県などの意見を踏まえ、昨年七月に国土交通省が策定した新広域道路交通計画では、山形自動車道のミッシングリンクである月山インターチェンジから湯殿山インターチェンジ間を「構想路線」として位置づけ、新たに仮称・庄内内陸月山連絡道路という名称で盛り込まれたところでございます。 一方で、この区間は、地形が厳しく地盤が軟弱で、事業化に際しての技術的課題も多く、大変大きな事業になると考えられます。このことから、「令和五年度政府の施策等に対する提案」において、整備や維持管理の財源を含めた事業手法などの課題の整理・検討の着手を盛り込み、先月二十五日に、坂本議長とともに知事が直接、国土交通省に提案してきたところでございます。 今後も引き続き、仮称・庄内内陸月山連絡道路の実現に向け関係機関と議論を深めるとともに、機会を捉え政府等への働きかけを行うなど、粘り強く取り組んでまいりたいと考えております。 ○議長(坂本貴美雄議員) この場合、休憩いたします。 午後一時再開いたします。     午後零時十六分 休憩     午後一時一分 開議 ○議長(坂本貴美雄議員) 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑及び質問を続行いたします。 二十一番矢吹栄修議員。 ◆21番(矢吹栄修議員) 今日も自転車、矢吹栄修でございます。元気に質問していきたいと思います。 例によって幕末の名言を引かせていただきます。 「地位か名誉か金か、いや、大切なのは目的だ」。大阪経済の立て役者、五代友厚の言葉であります。 我々議員は、地位や名誉や金のために議員になったのではなく、何事かを成し遂げたいという目的を持って議員となりましたし、また、そうあるべきだというふうに思っております。これは、人生そのものにも言えることだと思います。政治行政は、現実路線の地道な仕事がほとんどでありますが、将来あるべき姿、将来目指すべき目的を見据えることが重要と思います。本日は、私の考える山形の「将来の目的」を示しつつ質問させていただきます。 まず初めに、新スタジアム建設に向けた考えについて伺います。 先日、株式会社モンテディオ山形の相田社長が天童市の総合運動公園南側の特設駐車場に新スタジアムを建設したいと発表し、知事も県有地の使用に合意していただきました。相田社長の壮大な構想力に称賛を送るとともに、県有地使用の英断を下していただいた知事に、天童市民一同、そしてモンテサポーター一同を代表して感謝申し上げます。 スタジアム建設については、建設するかどうかも決まっていないうちから建設場所の議論が先行し、誘致を表明した山形市と天童市の誘致合戦のような形になったのは、大変不幸なことだったと思います。実際、私も森谷県議も幾度となく県議会でスタジアムに関する質問をしてきましたし、天童市も市長をはじめ市民一丸となって誘致活動に邁進してきました。この間のことを思うと非常に感慨深い思いです。 しかし、もちろん天童市民としてうれしいというだけではなくて、モンテの一サポーターとして、山形県民として、我らが誇りであるモンテディオ山形のホームスタジアムが新たに建設されるということを喜びたいと思います。公正で平等な選定を経て建設予定地が決まった以上は、どちらが勝ったなどということではなくて、新スタジアムを山形県の宝となるようなものにしていきたいと強く思います。 そこで、相田社長のスタジアム構想を記者会見などから推察するに、まさに山形県の宝足り得るスタジアムとなるのではと思わせる夢のあるものとなっています。全天候型のドームで、サッカー以外の目的にも三百六十五日対応できるスタジアムを造る。そのためには広さが必要であり、建設までの期間を考慮しても総合運動公園南側の特設駐車場が最適であるという選定理由でありました。 Jリーグの規定では天然芝でしか試合を行えないので、全天候型のドームでは日光が芝に当たらないため、屋根を開閉式にするか、ピッチをスライドさせて外に出すかという形になります。広い場所が選定理由だったことから、恐らくスライド式のものになるのだと推察します。天然芝の上に人が乗ると芝が荒れて試合ができないため、コンサートなどのとき観客をピッチの上に上げさせられません。その点、スライド式でピッチが外に出せれば、三百六十五日、いつでもイベントやコンサートに使えるということになります。サッカースタジアムの枠を超えたイベントホールになることを期待させられます。 もちろん、スタジアムは単体では効果が薄いでしょう。サッカーの試合がないときでも、その場所そのものが楽しくなることが必要で、相田社長はそのような実績を過去につくってきた人でもあります。そう考えたとき、県の総合運動公園の隣接地という場所が意味を持ってきます。総合運動公園は、県民やスポーツ関係者が年間百万人近く利用している場所です。それだけの交流人口のパワーを内在しているということであり、そこに新スタジアムという新たな核ができるのです。既にあるスポーツ施設とも連動しながら三百六十五日楽しめる一大ボールパーク。それであってこそ、スタジアム建設が大きな意味を持ってくるでしょう。 そのためには、様々な課題もあります。例えば、場所が市街化調整区域であることから開発するときの法的なハードル、商業施設を施設内で建設するときの許可、周辺に観光施設を造るときの農地法などの規制、様々な法律や条例のハードルが予想されます。その上で、株式会社モンテディオ山形が中心となった一大ボールパーク構想の展開に向け、ぜひ、規制ばかりを気にするのではなく、民間活力を十分に生かした、わくわくする施設となることを期待します。 また、建設予算という点でも大いに気になるところです。株式会社モンテディオ山形は、多くの民間の出資を募り、国からの予算も申請する考えで、もちろん天童市も基金などを用意しています。まだ建設予算の内訳などは定かではありませんが、県有地に建設される、山形県の宝となり得る新スタジアムです。予算的な部分でも、絶大な支援と知事の英断を大いに期待するところです。 スタジアム本体の建設については、所有権と維持管理費の問題が出てくることでしょう。新スタジアムの所有者は株式会社モンテディオ山形なのか、自治体なのか。民間の会社が所有者となれば、莫大な固定資産税がかかってしまいます。また、施設の維持管理や修繕費用も問題になるでしょう。 その点、例えば大阪府吹田市のスタジアムの場合、大阪府の土地を吹田市が借り受け、市が所有者となり、指定管理料をゼロで指定管理に出す、言わば、民間企業に無償貸与し、施設の運営を一任した上で、生み出した利益の一部をストックして将来の修繕費などに備えるという形を取っている例もあります。自治体は、所有はしますが、運営費と修繕費を拠出する必要もなく、もちろん固定資産税もかからない。県有地に建つ施設であれば、こんな形式も有効ではないかと思います。 少し先走り過ぎているようにも思うかもしれませんが、新スタジアムは二〇二五年を完成目標としています。時間はあるようで、もうぎりぎりのラインです。その間に開発行為のハードルを越え、予算組みをし、所有や維持管理の調整をしなければなりません。そして、そこには県の存在が非常に大きいと思います。 ぜひ、県の宝の創生に向けて、モンテサポーターと多くの県民の期待に応えるべく、知事が英断を下されることを期待しますが、新スタジアム建設に向けた知事の考えを伺います。 次に、デジタルトランスフォーメーション、DXについて二点伺います。 アフターコロナの地方創生に大事なことは多々あるでしょうが、最もドラスチックに山形を新生させるのはDXだと考えます。ハードを整備するのには莫大な予算と時間がかかりますが、ソフトから社会構造を変えることは比較的簡単な世の中になりました。なぜならば、スマートフォンがこれだけ世の中に普及したからです。 地方創生に資するDXの先進事例として、昨年特別委員会で視察し、感銘し、驚愕したのが会津若松市の事例です。会津のDXの取組は多岐にわたり、まさに全方位から地域DXを達成しようとしていますが、その中でも注目したいのが、まだ準備段階ではありましたが、会津版のデジタル地域通貨と地方独自のキャッシュレス決済システムの創設です。 地域通貨は、文字どおり、その地域でのみ使える通貨であり、仮に山形の地域通貨の単位をチェリーとし、一チェリー当たり一円と設定します。観光客が山形を訪れて一万円をチェリーに交換するとポイントがついて一万二千チェリーとなり、お土産を買う際などに二千チェリー分お得になるといったイメージであります。紙媒体でもできますが、今や全国的にはスマートフォンにアプリを落として決済するデジタル地域通貨が主流で、県内では、長井市において先日開始されたと聞いております。 これだけ聞くと特に地元住民には利点がないように聞こえますが、今回のコロナの際のプレミアムつき商品券を例に考えると、その効果は絶大であります。紙媒体での発行は、莫大な印刷費や発送などの事務経費がかかります。当然、行政側も店舗側も事務作業が煩雑となりますし、商品券販売の際に購入者が殺到してパニックになったという事例が実際に県内でもありました。 しかし、これをデジタル地域通貨で発行すると、一度システムをつくってしまえば、事務経費も事務作業もほとんど要りません。しかも、デジタル地域通貨は細かな設定が可能であり、例えば、使える店を限定したり、使う店と人によってプレミアム率を変えたりということができるわけです。まして、発行までのタイムラグが少ないので、議会で承認された一分後に県民のスマートフォンに発行されるということも可能である上に、店側も、煩雑な申請から解放されて、決済までの時間差も少なく、さらには偽造などの不正も起きにくく、買える人と買えない人が出るといった不公平感も防ぎやすいといった多くの利点があります。 このように、デジタル地域通貨には、観光客向けの効果だけではなく、地域住民にとっても利点が多いのですが、地方ではまだまだ認知されていないと感じます。しかし、便利であれば必ずや普及していくでしょう。 一方、地方ではキャッシュレス決済がいまだ進んでおらず、依然として現金決済が多い傾向にありますが、その大きな原因は決済手数料の問題だと考えます。キャッシュレス決済で売上げの数%を手数料として持っていかれるのは店にとって痛手ですし、地方で使われたはずの所得の数%が中央の会社に吸い上げられるということでもあります。 また、普及が進んだカード決済は、カード決済専用機の導入など多くの投資が必要であり、中央の大企業にしか実現不可能なものでした。しかし、スマートフォンが普及した現在であれば、地方が独自にキャッシュレス決済システムを導入することは十分に可能です。 夢物語ではありません。実際に会津若松市ではこれを実現させようとしています。しかも、手数料は売上げに応じて数%ではなく、その決済システムの維持運営に関する経費を参加店舗が分割する定額方式を志向しているというところがすごい。これは、実際にはなかなか難しいようではありますが、もし実現すれば、地方のキャッシュレス決済会社は運営コストに相当する利益だけを取り、売上げが伸びるほど地方のお店や会社にもうけが残るという世の中をつくれます。 以上述べたように、電子的な地域通貨と地方独自のキャッシュレス決済システムの導入は、地元住民と地元の企業に大きな利益をもたらすことが分かります。そしてこれは、各市町村がそれぞれ導入するよりも、スケールメリットを持って導入されてこそ効果が大きいものであり、県という大きな枠組みで導入されるのが望ましいものと思います。さらに言えば、既に先行している例がありますから、そのシステムを借りることで、新たに莫大な開発費を投じなくても導入できるものでもあります。 アフターコロナの非現金社会の実現及び県民や地域経済の大きな利益になる未来に向けて、デジタル地域通貨と地方独自のキャッシュレス決済システムの導入についてどう考えるか、みらい企画創造部長の考えを伺います。 次に、DXの取組についてもう一つ、健康福祉分野におけるDXについて伺います。これは、まさに県民に便利さを実感してもらえるツールとなると確信します。 世界的にも先進的なものが、デンマークとスウェーデンにまたがるメディコンバレーです。それぞれの患者の健康医療に関するデータ、表層的なものではなく、ディープデータと言われるデータを集積し、それを活用して薬品開発や医療機器開発などの大きなビジネスにつなげています。 もともとDXで最も大事なのはディープデータの集積です。ディープデータこそ価値のあるもので、前述のデジタル通貨でも消費者の動向データなどに価値を発揮します。しかし、もちろんこれは個人情報との関係性において非常に収集が困難なものでもあります。中国などの全体主義国家なら別ですけれども、自由主義国家の日本ではなかなか難しいでしょう。 そこでオプトインという形式が有効です。これは、便利なサービスを受けられるのであれば自分個人のディープデータを提供してもいいですよと個々人が情報提供を了承する仕組みです。逆に言えば、納得するサービスが受けられなければ、個人が便利だと感じなければ、データは提供されません。例えば、ネット通販などの個人情報が一企業の販売戦略に利用されるだけで個人には何の得もないということでは駄目です。しかし、もし納得のできるサービスを受けられるならある程度の情報は提供してもいいと答える割合が八割を超えるというアンケート結果もあります。こう考えると、オプトインして便利なサービスが受けられるのは、健康医療の分野が一番分かりやすいものだということが分かります。 例えば予防医療。毎日の血圧などの体調、どんな運動をしたのか、食事のカロリー、仕事のストレスといったデータを拠出することで、健康維持のための指導がAIで自動で受けられたりできます。もっと言えば、遺伝的な傾向や、血液採取のデータからかかりやすい病気の傾向を知ることもできるでしょう。これに関しては、慶應義塾大学先端生命科学研究所と協力すれば、山形は全国に冠たる存在になれると思います。そうした健康維持のメリットの一方で、健康的な生活を送っている人は生命保険の掛金が安くなる、つまり、健康的な生活をしていれば金銭的に得をするといった時代が必ず来ます。メディコンバレーでは、ディープデータを提供すれば医療費は無料になるくらいであります。 もちろん、医療現場においてもDXは避けられません。個人の電子カルテを病院や薬局で共有することは、今後必然となってくるでしょう。先日、父が入院手術しましたけれども、電子化が進んでいる県立中央病院ですら手続やアンケートで一々紙媒体の書類を書かねばならないし、アナログのお薬手帳も必須でした。これがほかの病院と薬局をまたぐと大変なことになります。在宅医療や遠隔医療のことを考えると、ますます壁は高くなります。 医療や薬局のDXの話になると話が終わらなくなるので問題提起だけにしますが、ほかにも、行政でやる健康事業などもあまりにもアナログ過ぎます。極端な話、どれくらい運動したか、食事にどれくらい気をつけているか紙に書いて提出すると紙媒体の割引券がもらえるなどという事業すらあります。これでは面倒くさ過ぎますし、割引券ではその面倒を超すだけのサービスとはとても言えないと思います。五十嵐議員のような散歩マニアでもわざわざ提出しないと思います。つまり、よほどの健康マニアでなければそんな事業には参加しませんし、ターゲットにしたいのは健康のことを考えるのがおっくうな層なのです。スマートフォンを持って歩くだけで自動的に先ほど述べた地域通貨百チェリーがもらえるといったほうがよっぽど効果が高いはずです。 こうして考えると、スマートフォンがこれだけ普及した今、健康医療の分野こそ、オプトインしてディープデータを提供してもらうことで、個々人に大きなサービスを返せる分野ということが分かるでしょう。 しかし、問題なのは、オプトインしてもらったデータを管理する主体です。世界的ICT企業が独占したり、国家が独占したりでは、市民のためではなく、企業や国家のためになってしまいます。会津若松市では、その問題を解決するために、官学民金、地域のあらゆる分野の人々で構成するコンソーシアムをつくり、所属する各企業等が保存するデータを管理するためのルールづくりについて検討しています。一企業でも国家でもない、これが肝なのであります。 データを預ける相手は信頼できる存在でなければならないため、行政も入った地域の者で構成されるのが適しています。恐らく健康医療分野だと、村山、最上、置賜、庄内の四地域でまとまるのがベストだと思われます。ただ、各地にこうした機運が自然発生すればいいのですが、やはりここは県が中心となって旗を振り、ディープデータの集積と健康医療分野のDXを先導していく必要があると考えます。 県民が納得して自分のデータを提供しながら、不便なくサービスを受けられ、誰もが健康寿命を延ばしていけるような「健康長寿県やまがた」をつくるため、健康医療におけるDXの今後の方向性についてどう考えるか、健康福祉部長に伺います。 次に、外国人材の受入れ態勢について伺います。 アフターコロナには必ず外国から人材が再び入ってくるでしょう。人材不足の山形県としては、考えずにはいられない分野です。私の地元の天童市でも、ミャンマーからの人材を多く受け入れることが決まった直後、コロナ禍となり、その後、クーデターもあって、その計画は頓挫してしまいましたが、インドやモンゴルといった国の人材を受け入れないかという打診が既にありました。世界は着実にアフターコロナに向けて動いています。 これまでも、どの国の人材を受け入れるのかといった話題は議会でもありました。ですが、その国によって国民性も違いますし、人口の規模も違いますし、たけた技術も違います。県としては、どの国にターゲットを絞ってということはなかったと思います。 また、担当部署も分野ごとに違います。総合的にはみらい企画創造部でしょうが、介護人材だと健康福祉部になりますし、建設業だと県土整備部、産業系だと産業労働部になりますが、労働力の確保はどちらかというと県内人材の活用であって、外国人材の受入れにそれほど積極的ではないと感じております。 そういう背景から、外国人材の受入れに関しては、特に定まった担当部署と相談機関があるわけではなく、各国がばらばらに、民間がそれぞれに交渉して受け入れるという形になってきた印象が強いです。 しかし、それでは今後不具合が生じるのではないでしょうか。 もちろん、各国とのつながりに関しては濃淡がありますし、各国の事情も違いますから、それぞれの国の送り出し機関との交渉になるのは当然ですけれども、県としては、どの国をターゲットにするという方針もない以上、ばらばらに動くのはいかにも効率が悪いですし、送り出し機関と受入れ機関の信頼性の問題や、不法就労やブラック企業の存在など、民間に任せておけばいいという問題でもありません。 その点、茨城県では外国人材支援センターという機関をつくっています。外国人材の受入れに関することを掌理する機関となっていますが、もちろん全てをこの機関が仕切っているというものではなく、県内の受入れ機関と産業界や大学などのつなぎ役であり、諸外国からの送り出しの際の窓口といったところであります。言わば外国人材受入れの器といった感じでしょうか。 茨城県では、知事肝煎りでこの機関がつくられましたが、その理由は、まさに不法就労が全国一位だったからだといいます。山形県では不法就労が少ないから必要ない、ではなく、こうした機関を設置することが、外国人材の受入れをスムーズにするだけでなく、不法就労を防ぐ防壁にもなるということです。 外国人材の受入れには、多様な団体や人々が関わり、日本語教育や就労先とのマッチング、日々の生活相談など様々な課題もあります。こうしたことに県はノータッチではなく、茨城県のような外国人材の受入れの器となる機関をつくることが必要と考えますが、アフターコロナを見据え、外国人材の受入れ態勢づくりについて、みらい企画創造部長の考えを伺います。 次に、果樹王国情報発信拠点について伺います。 二月定例会において、果樹王国発信拠点施設に関する予算が突如上げられ、議会の理解が得られないとして、異例の予算取下げがなされました。この予算上程の経緯については、当時、農林水産常任委員会の副委員長でしたのでよく分かっていますが、あまりの唐突感と議会への説明が不足していたことが問題視されたことは、昨日の渋間議員の代表質問でも指摘されたとおりであります。 しかし、私は、説明の不十分さもさることながら、果樹王国を発信する手段として二十五億円も投じた箱物が適切なのか、まさにこの点が問題なのだと指摘したいと思います。 第一に、このネット社会において箱物の観光施設が情報発信に最適かが疑問です。確かに検討部会の報告書に情報発信施設とはありますが、それが二十五億もの大施設だとは言っておりません。各地域の主要な駅の一角に情報発信の場を設けてもいいわけです。もしくは、どこかのビルの一角にネット発信施設をつくってもいいでしょう。 第二に、この拠点施設はきっかけにすぎず、ここに来たお客さんを各地の園地に誘導するものだとの説明がありましたが、果たしてそううまくいくでしょうか。寒河江からわざわざ庄内に移動してくれるでしょうか。ならば、今述べたように各地につくったほうが有効だとも言えます。 第三に、農家さんのための研修などに使うという説明もあり、園芸農業研究所に近いことを理由として挙げられましたが、確かにそういった施設はあってもよいと思いますけれども、今回の施設の目的とは全く違う意味合いのものであります。 第四に、これが最大の問題ですが、箱物である以上、そこに行かなければ体験できないものがなければ駄目なのに、その内容があまりにも薄過ぎることです。シアターを造るなどということは面白くありませんし、VRでの農業体験なども実際の園地でやったほうが臨場感があります。年中フルーツが食べられるというカフェも、生で一年中サクランボを食べられるわけでもないでしょうし、それこそ各地のカフェでフルーツケーキを食べたほうがいいでしょう。つまり、そこにしかないもの、目玉がないのです。ディズニーランドは、あの場所にしかない夢と魔法が味わえるから足を運ぶのです。山形県が誇る加茂水族館も、クラゲという目玉を見るために訪れるのです。もちろん、スタジアムにはサッカー観戦やコンサートのためにお客さんが集まります。 類似施設として、鳥取県の「なしっこ館」があります。二十世紀梨の情報発信施設で、まさに山形県がやろうとしたことの先行事例、しかも、恐らく二十五億どころではない予算がかかっています。しかし、年間入場者は十四万人。他県のことで悪いのですが、加茂水族館の五十万人以上と比べれば、とても成功しているとは思えません。県がそうした施設を造れば、近隣の小中学生が義理で社会科見学に来てくれるかもしれませんが、それで入場者数を稼いでも、「果樹王国やまがたを世界に発信する」という目的とはそぐわないことになります。 先行事例がさほど成功していないのに、それより低い予算で逆転ホームランが打てるほどの目玉が構築できるのか、そこが問題なのです。 農業そのものを体験し、買物をし、食事をし、遊び、泊まるといった農業テーマパークのようなものなら、全国的にも成功事例がありますから賛成できます。しかし、こうしたものを県が造ってしまえば民業圧迫になります。問題はまさにここにあって、そこに行きたくなるような目玉をつくろうとすると、それに類似した直売所だったりレストランがあったりで、民業圧迫になってしまうのです。民業を圧迫しないようにすると、どうしてもつまらない内容になってしまう、そんなジレンマを感じるのであります。 民業圧迫を避けた観光施設。今回の施設の構想を見たときの私の印象は、「フルーツ発信博物館」というものでした。博物館であれば民業も圧迫しないし、文化施設であればもうけを出す必要もない。今回の計画では、直売所ではなく「フルーツグッズなどの売店」や、観光果樹園ではない「カフェ」が挙げられていましたが、確かに博物館にも売店やカフェはあります。しかし、博物館に行く目的は展示物や美術品を見ることで、ミュージアムショップやカフェに行くことではありません。返す返すも中身が重要なのです。 フルーツ発信博物館を造るのであれば、いっそのこと、老朽化が進み、建て替えが叫ばれる県立博物館を造ったらどうなのでしょうか。その一角に山形県の果樹の歴史や果樹関係の文物や技術紹介の展示スペースをつくればいいのです。シアターやVR体験があってもいいでしょう。「果樹王国やまがた」にふさわしい特色ある博物館になると思うのですが、いかがでしょう。しかし、県立博物館である以上、果樹王国の世界への発信をメインの目的としてはならず、メインはあくまでも県の歴史や文物を展示・発信することということになります。その意味でも、県立博物館の一部にフルーツがあっても問題はありません。そして、博物館は観光施設ではなく文化施設ですから、もうけや入場者数が最優先ではありません。 いずれにしても、箱物を造ることが絶対に駄目だとか、コンクリートから人へなどと言うつもりはありません。また、果樹王国の発信が不要だと言っているわけでもありません。その手法に二十五億の箱物が最適か、そしてそれだけのものを造った後で世界から人を呼べる目玉が用意できるのか、そこに最大の問題があるのです。 果樹王国情報発信拠点施設について、議会への説明が不十分だったという理由で取り下げたわけですが、情報発信に箱物が最適で、それに見合った目玉があるという計画でない限り、なかなか議会と県民の理解は得られないでしょう。 果樹王国の情報発信拠点の今後の考え方について農林水産部長の考えを伺います。 最後に、住宅の循環について伺います。 空き家の問題はどの地域でも悩みの種です。しかし、所有権の強い日本の法律では、なかなか抜本的な解決は難しい。先日、かみのやまランドバンクを視察しましたが、精力的に活動はできているものの、所有権とのはざまで、どんどん空き家を減らすという状況までには至っていません。兵庫県などでは、空き家活用のための規制緩和条例を制定しているようですが、これも、有効な部分は見受けられますが、やはり抜本的というところまでは行っていないようです。 ただ、私の地元の天童市などを見ると、市街化区域においては、広い敷地の空き家が出るとハウスメーカーがその土地を細かく数軒に分譲して安く売るということがよくあります。一方で、これが市街化調整区域の場合、最低面積や優良田園住宅でないと駄目といった規制があるため、なかなかこういう分譲は無理となります。結果、若者が市街化調整区域から離れて中心部に行き、周辺地域から子供がいなくなるという事態を生んでいるのです。 市街化区域と市街化調整区域という制度は、人口が伸びている時代に乱開発を防ぐ意味では有効だったでしょうが、人口が減る中で地方創生をせよと言われる山形県のような地方にとっては足かせになっています。市街化区域を広げようにも、どうせ人口が減るのだからと言われて許可されません。こんな状態でどうやって人口を増やし地方創生をしろというのでしょうか。都会にコンパクトシティを求めるのは分かりますが、地方にも一律に求めるのでは、住宅開発できず、ますます若者が流出してしまいます。 国の制度はひとまず置くとしても、今語った小さな家でないと若者が買わないという話は、日本が抱える重大な課題です。昔は三世代同居が基本で、長男以外の兄弟は分家して自分で家を建てるといった形だったでしょう。無論そんな前時代的な社会風潮はなくなって久しいですが、純粋に生涯所得から住宅にかかるお金を引くという考え方をすると、借家だったりローンで家を建てたりすれば、手元に残る金に大きな差が出ます。つまり、三世代同居のほうが財産が築きやすい。山形県は三世代同居率が高いとされ、それを推奨する政策もあったようですが、祖父母との同居による子育てのしやすさもさることながら、三世代同居のほうが住宅にかかるお金が得という考え方をすべきでしょう。 ただ、もちろん三世代同居率はどんどん下がり、たとえ親の持家があるとしても自分の家を建てるという傾向にあります。純粋に親と住みたくない、地域のしがらみが嫌だなどなど様々な要因が考えられますが、三世代同居しろと強制もできません。しかし、若者が自分で家を建てる場合、いまだそれほど給料が高くないこともあって、どうしても狭い土地に核家族が住める程度の家しか建てないことになるのです。結果、安い分譲の家を若者は求め、狭い分譲が建てられない市街化調整区域から離れて市街化区域に流れるという現象になるわけです。 周辺地域の人口維持が難しくなるという問題もありますが、そういった狭い家は車も二台分ほどしか止められないし、部屋数も少ないですから、子供が成長したときに結局一緒には住めません。子供が出て行った後に夫婦二人暮らしとなり、その二人が亡くなるとまた空き家になるという事態になります。 ただ、これは嘆くべきことではないです。何となれば、欧米などではそれが普通だからです。子供は自立したら家を出て自分の家を持つのが当然で、日本の今の傾向と大きく違うものではありません。むしろ一人暮らしより結婚して二人になったほうが住宅費が得ということで、結婚促進になるくらいだとも言えます。 ただ、日本の傾向と大きく違うのは、欧米の場合、ライフステージに合わせて住宅を住み替えるという点です。子育て時代は郊外の広い一軒家に住みますが、子供が出ていって体が動かない高齢者になったら中心部のアパートに住むといった具合です。 翻って日本の場合、広い庭や駐車場が必要な子育て世代が中心部の狭い家に住み、独居老人が郊外の広い家と庭を草刈りもできずに持て余すという状況にあります。これを逆にしないと、つまり、ライフステージに合わせて適切な広さの家に住み替えるという状況をつくらないと、若い世代はローンに首が回らず、高齢者は郊外で歩いて買物にも行けないということが続きます。言わば、住宅の循環を促進せねばならないのです。 しかし、これは言うはやすしで、行政がそうした風潮を誘導するのはなかなか難しいでしょう。例えば、行政も関わった上で空き家を若い家族、特に介護士や保育士などの、必要だが地方では人材不足で、しかもなかなか所得が上がらない方々に準公営住宅のような形で安い値段で住んでもらう。あるいは、空き家のリフォーム補助は所有者じゃないともらえないが、なかなか荒れた空き家をあえて買う決断はしづらいので、宅建業者や建設業者がリフォームして若い世代に売る際にも適用させる。逆に高齢者が中心部の便利な場所に移り住む際には補助を出す、などが考えられます。リバースモーゲージの活用も有効でしょうか。 空き家の話ばかりが問題なのではありませんが、住宅の循環といった未来に向けて、まずは空き家の問題解決が糸口になるかもしれません。 いずれにしても、ライフステージに合わせた住宅の住み替えという課題は、今後の住宅政策を考えるのに重要かと思いますので、県土整備部長の考えを伺います。 これで壇上よりの質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。 ○議長(坂本貴美雄議員) この場合、答弁を求めます。 答弁の順は私から指名します。 吉村知事。 ◎知事(吉村美栄子君) 矢吹議員から私に新スタジアム建設に向けた考えについて御質問がございましたのでお答え申し上げます。 新スタジアムの建設に向けた検討につきましては、観客席の三分の一以上が屋根で覆われていることなどの基準が盛り込まれたJリーグクラブライセンス交付規則が平成二十四年二月に施行されたことを契機に、モンテディオ山形を中心に行われるようになりました。その後、県内の主要経済団体や民間企業の方々により新スタジアム推進事業株式会社が設立されるなど、これまで建設候補地を含めた議論が進められてきたものと承知をしております。 新スタジアムの建設候補地につきましては、スタジアム誘致の意向を示した山形市と天童市の両市から提案があり、その判断に当たっては、モンテディオ山形の意向を最優先するというモンテファーストの考えを二つの市が共有しながら選定が進められました。本年三月に、モンテディオ山形が、新スタジアム建設予定地として天童市が提案した県総合運動公園の特設駐車場を希望するという判断に至ったというのが経緯でございます。 そして、この場所が県有地であったことから、モンテディオ山形や新スタジアム推進事業株式会社と天童市により、県に対して、当該県有地の使用について協力の要請がなされました。一回目の令和四年三月十四日はモンテディオ山形と天童市、二回目の四月七日は新スタジアム社を加えた三者で来庁されました。 モンテディオ山形は、県民に元気や感動を与えてくれる存在であり、県のPRや経済活性化など本県の活力づくりに資するプロスポーツチームでございます。また、県総合運動公園の利用者が不便にならないよう、新スタジアムの建設に伴い不足することになる駐車場については天童市が責任を持って確保するという考えが示されました。県としましては、こうしたことを踏まえ、新スタジアム建設に向けて、県有地である特設駐車場の土地の使用について協力する旨の回答を行ったところでございます。これは令和四年四月七日のことでございます。 今後、モンテディオ山形において、全国の先行事例も参考にしながら、地元の天童市や土地を所有する県などの関係者と協議調整を行い、建設に当たって生じる様々な課題への対応などを盛り込んだ具体的な計画を取りまとめていくものと考えております。 県としましては、モンテディオ山形における計画についてよくお聞きした上で、天童市などの関係者と十分に協議してまいります。 ○議長(坂本貴美雄議員) 岡本みらい企画創造部長。 ◎みらい企画創造部長(岡本泰輔君) 私にはデジタル地域通貨と地方独自のキャッシュレス決済システム導入についてと、外国人材の受入れ態勢についての二点について御質問いただいておりますので、順次お答え申し上げます。 まず、デジタル地域通貨と地方独自のキャッシュレス決済システムの導入についてお答え申し上げます。 デジタル地域通貨は、地域内での経済循環の創出や観光誘客、消費購買データの分析を通したマーケティングへの活用など、地域経済活性化策として全国で導入事例が増えてきており、本県においても、議員から御紹介がございましたとおり、長井市がこの五月二十七日からサービスを開始しております。 また、デジタル地域通貨の導入においては、キャッシュレス決済の仕組みが必要となります。現在普及が進んでいるキャッシュレス決済システムといたしましては、クレジットカード、Suicaや本県で先月運用を開始したチェリカに代表される交通系ICカードなどの電子マネー、ペイペイなどの大手事業者が参入しているスマートフォンとQRコードを用いるいわゆるQRコード決済があり、デジタル地域通貨の導入においては、QRコード決済の活用が主流となっております。 県内でも、地域経済の景気浮揚策として、こうしたキャッシュレス決済サービスを活用したポイント還元事業やプレミアムつき商品券のデジタル化に取り組む自治体があり、県でも今年度、消費喚起を目的とした市町村のプレミアムつき商品券やキャッシュレス決済システムのポイント還元事業に対し、そのプレミアム分や還元ポイントの原資への補助を行っております。 デジタル地域通貨やキャッシュレス決済サービスは、既に様々な民間事業者によるプラットフォームがあり、導入しやすい環境が整ってきております。一方で、利用者側でも、そもそもスマートフォンを利用されない方やスマートフォンの操作が苦手な高齢者の方がいること、また、店舗側でも読み取り機器の設置が必要となるなどの課題もあり、県内においても、地域内の理解が得られずプレミアムつき商品券のデジタル化を断念した市町村があることも承知しているところでございます。 特に、デジタル地域通貨の導入については、高額となる初期導入費や運用コストを地域で負担しなければならない点、店舗側の決済手数料の負担などが大きな課題であると認識しております。このため、議員御紹介の会津若松市における地域全体でコストを負担することで決済手数料の定額方式を目指している独自のキャッシュレス決済システムについて、その検討状況を注視しているところでございます。 しかしながら、導入の前段として、県内各市町村の商工団体や関係者、事業者の皆様の合意形成が必要だと認識してございます。米沢市では、今年三月に若手経営者などが中心となってデジタル地域通貨の勉強会が開催されたほか、今年度、複数の商工会でキャッシュレス決済の検討が行われると伺っております。地域経済の活性化策として、導入目的やメリット・デメリット等を地域においてしっかりと議論いただくことが重要であるというふうに考えてございます。 引き続き、スケールメリットを考慮した共同調達による導入可能性も含め、デジタル地域通貨の市場動向や先進事例等の把握に努め、こうした県内各地域での取組に対し、関係部局と連携しながら情報提供やアドバイスを行うなど、適切に対応してまいります。 次に、外国人材の受入れ態勢についてお答え申し上げます。 少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少が今後も続くことが見込まれる中、国内の深刻な人手不足を解決するためには、外国人材の受入れを進めていくことが必要であると認識しております。特に、外国人材の受入れに当たりましては、受入れから就労、生活支援まで総合的な対応が求められますことから、政府においては、外国人材の受入れ、共生のための総合的対応策を取りまとめ、分野ごとに、または在留資格等に応じた様々な支援策を講じているところであります。 県におきましても、外国人材は、単に人手不足の解消だけではなく、専門的知識や技能を持つ即戦力として、本県の経済再生を担う重要な人材となり得ることから、関係部局において、政府の支援策や各業界・分野の実情等を踏まえた取組を行っているところでございます。 新型コロナウイルス感染症の終息後には、全国的に外国人材の獲得に向けた競争の激化が予想されますことから、外国人に働く先、生活する先として山形県を選んでもらうためにも、本県に関する情報はもとより、外国人が安心して生活し、そして、やりがいを持って活躍することができる環境をつくっていくことが大変重要であると考えております。 このような中、県においては、高度外国人材として期待できる留学生を対象とした企業見学会や合同企業説明会を開催するなど、県内企業の人材確保を支援しているところです。また、在住外国人が暮らしやすい環境づくりを推進するため、霞城セントラル二階に外国人総合相談ワンストップセンターを設置・運営し、生活等に関する情報を提供しているほか、山形県国際交流協会等が実施する外国人を対象とした日本語学習の運営に対する支援等も行っております。 今後、さらなる外国人材の受入れが求められる状況の中、海外の外国人材と県内の民間事業者等とを円滑に結びつける橋渡しとなる機能の必要性は増してくるものと捉えております。 県としましても、外国人材の総合的な受入れ態勢の在り方という観点から、まずは、外国人材の職業紹介や就労支援をなりわいとする民間事業者や外国人材を実際に受け入れている経営者のほか、大学関係者、そして外国人材の受入れ支援等を行っている独立行政法人国際協力機構・JICAなどから幅広く御意見をお聞きしてまいりたいと考えております。 あわせて、外国人材の積極的な受入れをしている経営者と、外国人材の受入れを検討している、または人材確保に悩む経営者の方々とをつなぐ機会の提供や、産学官連携による、留学生の受入れから修学・就職・定着・活躍までを一貫してサポートする体制の構築など、外国人材の受入れ拡大に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。 ○議長(坂本貴美雄議員) 堀井健康福祉部長。 ◎健康福祉部長(堀井洋幸君) 私には健康医療分野におけるDXについて御質問がありましたのでお答えいたします。 本県では、「健康長寿日本一」の実現に向け、市町村や企業、関係団体等と連携し、県民一人一人が食や運動など生活習慣の改善に主体的、継続的に取り組むよう、各種事業を展開してまいりました。 また、平成二十七年度より、市町村など国民健康保険等の保険者に対して、加入者の健康増進のため、レセプトや健診情報等のデータ分析に基づき効果的・効率的な保険事業をPDCAサイクルで実施するための事業計画となるデータヘルス計画の作成・公表が義務づけられており、現在、各市町村等におきましても、その計画に基づいた各種事業が進められております。 このうち、昨年度、県が支援したICT活用事例を申し上げますと、米沢市と川西町におきまして、住民が食事や運動、睡眠の状況をスマートフォンのアプリに自ら入力し、その情報からAIによる生活改善のアドバイスを受けるという試行的な取組を実施しております。参加者からは「ふだんの何げない生活にも改善点が多くあることに気づかされた」などの感想が寄せられ、特に健康への関心が比較的薄い方々に対して一定の効果があったものと考えております。 次に、医療分野におきましては、医療機能の分化・連携と在宅医療の推進を図り、限られた医療資源を有効に活用するため、病院や介護施設などが相互に情報共有する仕組みが求められております。このため、県では、山形県保健医療計画において「医療機関における医療情報の電子化の促進と総合的なネットワーク化の推進」を目標に掲げ、医療情報ネットワークの構築を進めてまいりました。 現在、県内四つの二次医療圏全てに、地域の中核となる医療機関の電子カルテ等の診療情報を患者の同意を得て他の医療機関等と共有する地域医療情報ネットワークが構築されており、多くの医療機関等で利用されております。さらに、救急医療や高度専門医療等では、二次医療圏を越えて広域的に患者が移動することを踏まえ、平成三十一年三月に各ネットワーク間で山形県医療情報ネットワークの広域連携に関する協定書が締結されております。これにより、県全域での情報共有が可能となり、参加施設や登録患者数も年々増加しており、令和三年九月末現在で参加施設数は約五百施設、登録患者数は十三万人を超えております。 政府におきましても医療・介護・健康分野のDXを推進しており、その一例といたしまして、現在マイナンバーカードの交付を受けている方は専用アプリから自身の特定健診情報等を閲覧可能となっており、順次レセプト情報等に対象が拡大されることとなっております。さらには、スマートフォンアプリ等に記録された歩数や血圧等の健康医療データを本人同意の下で自身の健康づくりや診療に役立てることなどについても検討が進められていると聞いております。 県としましては、こうした政府におけるDXの検討状況を注視していくとともに、県内市町村や医療関係者などをはじめ、現場の声を丁寧にお聞きしながら、より効果的な健康増進事業の展開や、限られた医療資源の有効活用などの課題解決につながるよう、健康医療分野のDXを進めてまいりたいと考えております。 ○議長(坂本貴美雄議員) 地主農林水産部長。 ◎農林水産部長(地主徹君) 果樹王国情報発信拠点についてお答えいたします。 本県は、国内外に誇る多彩な果物を豊富に産出しており、サクランボ、西洋梨の産出額は全国一位、ブドウ、リンゴは四位、桃が六位と、まさに「果樹王国やまがた」の名にふさわしい実績を持っております。特にサクランボは、山形県の代名詞と言われるほど全国に名高い評判を獲得しております。 他方、本県の果樹産業を取り巻く情勢に目を向けますと、担い手の減少・高齢化など大きな課題が山積しており、将来にわたって「果樹王国やまがた」であり続けるためには、生産者が意欲と誇りを持って営農を継続できるよう、本県産果物の魅力を強力に国内外に発信し、一層の生産・流通の拡大に努めることが重要であります。 このため、県では、令和二年度に、農業・観光・商工関係の団体、果樹生産者、果樹園芸や地域活性化等の学識経験者、県内で活躍するデザイナー等で構成された「さくらんぼ県やまがた」情報発信検討部会を設置し、国内外に向けた「さくらんぼ県やまがた」の魅力や情報発信の在り方、具体的な取組についての検討を行い、同年九月に「やまがたのおいしいくだもの情報館の整備」という具体的なアイデアを含む提言をいただいたところです。 県としても、本県産果物の代表選手であるサクランボは、全国にファンが多く、国内外から人を呼び込むことができるなど、極めて高いポテンシャルを持つ一方で、旬が短期間であるため実物に触れられる時期が限定されていることから、春夏秋冬、一年を通してサクランボの魅力に触れることができる施設があれば、観光や研修で来県される方にとって特色ある目的地となり得ると考えたところです。 この考え方に基づき、さきの令和三年度の二月定例会において、情報発信拠点施設についての県の考え方をお示しし、御理解を求めたところですが、その年度の説明が不十分であったという御指摘や、県民の理解が得られるまで議論を尽くすべきだとの御意見をいただき、これに関する予算を取り下げさせていただきました。 他方で、サクランボをはじめとする「果樹王国やまがた」の国内外への情報発信の強化が必要であることは論をまたないところです。来る令和五年には、佐藤錦や紅秀峰に続く県民期待の大型新品種「やまがた紅王」が本格デビューすることや、令和七年には本県でサクランボの栽培が開始されてから百五十周年の節目を迎えるなど、本県のサクランボを強力にPRするための千載一遇のチャンスが到来したと考えております。 このため、今年度は、令和二年度「さくらんぼ県やまがた」情報発信検討部会の委員をはじめ、さらに様々な方からお話をお聞きしながら、サクランボをはじめとする本県産果物の情報発信の効果的な手法について、改めて内部検討を重ねているところです。 サクランボをはじめとする「果樹王国やまがた」の国内外への情報発信の強化が必要であることは論をまたないところです。情報発信の手法について、関係する部局と連携の上、丁寧に検討してまいりたいと考えております。 ○議長(坂本貴美雄議員) 小林県土整備部長。 ◎県土整備部長(小林寛君) 住宅の循環についてお答え申し上げます。 県民の生活の基盤となる住宅については、住宅の立地場所や規模など様々な観点から個々人が決めるものでございますが、県としましては、世帯の姿や家族構成が変わっていく中にあっても、県民の皆様が健康で安心して暮らせる住環境を得ることができるよう支援することが重要であると考えてございます。 県では、令和四年三月に、住宅の基本的な方向性を定める山形県住生活基本計画を改定し、全ての県民がライフスタイルやライフステージに応じた適切な立地や規模等の住宅に居住できる環境整備を目指し、「すべての県民が安心して暮らすことができる住生活の実現」を目標の一つに掲げました。この目標実現に向けて、ライフステージに応じた住み替えの推進やリノベーションの普及啓発を基本的な施策に位置づけ、そのための一つの手段として中古住宅の利活用を促進することとしております。 総務省の平成三十年住宅・土地統計調査によると、県内には空き家が二万九千六百戸あり、このうち中古住宅として利活用可能なものは二万四百戸と見込まれます。この中古住宅を利活用することは、県民の住宅の選択肢を広げる一助になるものであり、空き家対策にもつながるため、県では、中古住宅の取得に対する支援事業を実施しているところでございます。 具体的には、新婚世帯や子育て世帯を対象に、住宅ローンの利子の一部について最大で五十万円を補助するものでございます。平成二十九年度の事業開始以降、利用実績は着実に増えており、県民にも少しずつ事業が周知されてきていると思われます。また、取得した中古住宅のリフォームには、県と市町村で協調補助している住宅リフォーム補助金を利用することができます。 今後も、利用者の家族構成や年齢、住宅の立地場所などの分析や、県民の意識調査などを通じ、事業内容の改善に努めてまいります。 その他、中古住宅の利活用策として、実績はまだ少ないですが、市町村と山形県すまい・まちづくり公社による買取り再販事業がございます。この事業は、中古住宅を買い取り、建物全体をリノベーションした後、子育て世帯に売却するものでございます。リノベーションの設計については、東北芸術工科大学に御協力いただいてございます。また、賃貸住宅への活用の取組として、県と山形市で山形市中心部の空き建築物を活用し学生の住まいとして提供する「準学生寮プロジェクト」も実施しているところでございます。 さらに、住宅を新築する際、良いものを造って長く使うという考え方から、将来の住宅の循環に資する良質な住宅を増やすことも重要でございます。このため、国の基準に適合し、耐久性に優れた長期優良住宅の普及や、本県独自の高い気密性・断熱性を有した「やまがた健康住宅」の建設を促進しているところでございます。 県としましては、新築・中古を問わず、県民の多様なニーズやライフステージに応じた住宅が提供されるよう、市町村とも連携して取り組んでまいりたいと思います。 ○議長(坂本貴美雄議員) 以上をもって通告者の発言は全部終わりました。 質疑及び質問を終結いたします。 ○議長(坂本貴美雄議員) 以上をもって本日の日程は終わりました。 明九日から十四日までの六日間は議案調査、委員会審査及び休日のため休会とし、十五日定刻本会議を開き、予算特別委員長より審査の経過について報告を求めます。 本日はこれをもって散会いたします。     午後二時二分 散会...